BEA Systemsは9月19日、カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターにおいて、同社のユーザーカンファレンス「BEAWorld 2006 San Francisco」を開催。2000人を超える来場者に向け、BEAの新しいSOA戦略である「BEA SOA 360°」プラットフォームを発表した。同カンファレンスは、明日(9月20日)まで開催されている。
現在の企業システム構築においてSOA(サービス指向アーキテクチャ)は、もはやなくてはならない仕組みとなっている。部門ごとに最適化され導入されたシステムはサイロ化し、ビジネスの変化に柔軟に対応することができなくなっているためだ。このような部門最適化されたシステムを全体最適化に導く仕組みとして期待されているのがSOAだ。
基調講演に登場したBEAの創業者であり、会長兼CEO(最高経営責任者)のAlfred Chuang氏は、「ガートナーやフォレスターリサーチなどの調査では、85%の経営者はシステム開発にSOAを採用することを検討していると答えている。現在は、試験的に導入している企業がほとんどだが、SOAがもたらす効果については多くの企業が理解している」と話す。
そこで、SOAのさらなる普及促進を目的に、「次のステップのSOAを提供することが必要だと考えた」とChuang氏は言う。同氏が言う、次のステップのSOA戦略となるのがSOA 360°プラットフォームだ。
SOA 360°プラットフォームは、BEAのTuxedoファミリー、WebLogicファミリー、AquaLogicファミリーという3つの主力製品を統合する「microService Architecture(mSA)」と、SOAコラボレーションツール環境である「WorkSpace360」で構成される新しいSOAプラットフォームだ。
mSAは、Tuxedo、WebLogic、AquaLogicのBEA製品はもちろん、SAPやOracleのアプリケーションなど、サードパーティ製品までもひとつのアーキテクチャ上に統合することで、より一枚岩的なSOA環境を実現するためのSOAプラットフォーム。これまでBEAでは、SOAに対応したアプリケーションを構築するためのインフラを提供してきたが、同社のインフラ製品そのものもSOA対応の製品にすることがSOA 360°プラットフォームの目的となる。
つまり、TuxedoやWebLogic、AquaLogicの機能を軽量なコンポーネントに分解し、必要な機能をmSA上で組み合わせることで、より柔軟かつ効率的にSOAインフラを実現することを可能にする。
一方、WorkSpace360は、アーキテクトや開発者、ビジネスアナリスト、ITオペレータなど、業務に関わるすべての担当者が、変化に柔軟かつ迅速にビジネスプロセスを変化させることが可能なSOAコラボレーションツール環境を提供するもの。2007年の製品化が計画されている。
WorkSpace360の中核となるのが、WorkSpace Centralと呼ばれるリポジトリで、このリポジトリによりすべての情報を一元管理することで、すべての利用者による効果的なコラボレーションを実現する。WorkSpace Centralは、BEAが2006年8月に買収を発表したFlashlineの技術により実現される(関連記事参照)。
Chuang氏は、「SOA 360°プラットフォームにより、より柔軟かつ迅速に企業の革新を推進することができるだろう。これにより企業は、市場における競争のための強力な武器を手に入れることができる」と話している。SOA 360°プラットフォームのより詳細な情報については、明日の基調講演で明らかにされる予定だ。
BEAでは2005年6月に、新しいブランドアイデンティティ「Think liquid.(流動的に考えよう)」を発表し、それに合わせた社内の改革を推進してきた。「Think liquid.」は、液体がどのような器にでも形を変えて移し替えることができるように、ビジネスの変化に柔軟に対応できるITインフラを提供するというBEAのSOA戦略でもある。
SOA 360°プラットフォーム戦略では、この考えをさらに一歩前進させ、顧客企業のシステムをSOA化するだけでなく、自社の製品群もSOA化することを宣言。インフラからアプリケーションまで、全方位(360度)でのSOA化を目指している。
Chuang氏は、「流動的に考えることで、すべてを変えることができる(Liquid Thinking Changes Everything.)」と話し講演を終えた。