日本オラクルは10月21日、SaaS型CRMアプリケーションの最新版「Oracle CRM On Demand R18」を同日より提供開始すると発表した。
Oracle CRM On Demandは、マーケティング、営業、コンタクトセンター、フィールドサービスなどの業務に向けたSaaS型CRMアプリケーション。同様のサービスは、Salesforce.comが業界でも他社に先行して提供しており、オラクルはこの分野で後発となるが、「2009年3月に発表したR16で競合と同等の機能が提供できるようになった。その後、金融業界などを中心に業界向けテンプレートを用意するなどして、競合製品との差別化を図っている」と、日本オラクル CRM On Demand統括本部 セールスコンサルティング&ビジネス推進部 部長の山瀬浩明氏は説明する。
最新版のR18で強化されたのは、中核となるCRM機能のほか、セキュリティ機能やサポートサービスなど。まずCRM機能として新たに追加されたのは、営業活動を実行するにあたり必要となるターゲット顧客の選定や、提案する製品、売り上げ見込みなどを計画する「Oracle CRM On Demand Business Planning」だ。この機能で作成した営業計画を、Oracle CRM On Demandのマーケティングや営業支援の機能に反映させ、実行できる。
また、業種別テンプレートとして、保険テンプレートが加わった。同テンプレートでは、保険募集人の管理や代理店向けキャンペーン機能など、保険会社用に向けた機能はもちろん、代理店が実際に顧客に接する際に活用できる機能も備わっている。このほか、ライフサイエンス業界に向けたテンプレートではナビゲーションが強化された。
セキュリティ面における強化点としては、オラクルのセキュリティ製品「Oracle Database Vault」に対応したことがある。また、仮想プライベートネットワーク(VPN)接続にも対応、「真の意味でのバーチャルプライベートクラウドが実現する」と山瀬氏。また、アプリケーションのアクセスコントロールや監査もできるようになり、「データベース、ネットワーク、アプリケーションのすべてのレベルで、大規模環境でも安心して使えるセキュリティを提供する」と山瀬氏。
R18では、大規模ユーザーに向けたサポートメニューも強化、ユーザー数200名、契約期間36カ月以上の顧客を対象に、導入やアップグレードを支援する無償のサービス「Oracle CRM On Demand Services」を提供する。このサービスには、オラクルの技術者による導入支援や、効果的な利用を促すトレーニングなどが含まれている。ユーザー数が200名以下の場合は、有償にて同サービスを利用することも可能だ。
Oracle CRM On Demand R18は、1ユーザーあたりの月額価格が8559円から。今回追加された業界別テンプレートも標準価格に含まれており、テンプレートを利用するための追加料金は発生しない。山瀬氏は、「競合ベンダーはクラウドの開発プラットフォームにフォーカスが移りつつあるが、オラクルではあくまでもアプリケーションの強化にフォーカスする」と述べ、今後もCRM機能を中心に強化していく考えを示した。