動きの速いIT業界に身を置いていると、はるか昔と思っていたことが、実は、つい最近のことだったという、ちょっとしたタイムトリップのような体験をすることがあります。「日進月歩」ならぬ「秒進分歩」ともいわれるIT業界。時の濁流の上澄みを、そっとすくい上げてみましょう。
さて、今回のテーマは、「蔵出し業界紳士録（前編）」です。
PC業界をリードし、その成長を支えてきた多くのパイオニアたち。かつては「若い」とされた風雲児たちが、今では還暦を迎えたり、定年まであと数年という世代になり、まさに紳士としての風格も漂いはじめています。大手企業で社長や役員にまでのぼり詰めた人、ベンチャー企業を支援する立場に転じた人、そして、いまだに現場で熱い挑戦を続けている人など様々です。今回と次回の2回に渡って、PC業界で活躍し、その後、大きく飛躍した人たちを振り返ってみます。
それではこれから、あなたをIT業界の過去へと誘います……。（画像をクリックすると、次のページへ進みます）
タンディ・ラジオシャック日本法人で、日本、米国、アジアを股にかけて活躍していた飯塚克美氏が、日本におけるデル・ファーイーストの設立に参画したのが87年。92年にはデルコンピュータ（現デル）の日本法人を設立し、社長に就任した。当時は、東京・五反田に本社を置き、数人規模でスタート。1993年1月には9万8000円からという低価格PCを投入して話題を呼んだ。写真は、デルの社長当時のものだ。1995年には独立して、アキア（akia）を創業。akiaは、アジアのAと、アメリカのAの間に、Katsumi Iizukaがいるというところから命名したものという。第1号製品となったノートPCの「Tornadoシリーズ」は、初期ロット1000台を2か月で売り切る順調な出足だった。だが、その後マック互換機での失敗などが影響して、アキアは、カシオの傘下に入ることになる。一時は鳴りをひそめていた飯塚氏だが、2003年にはバイ・デザインを設立。液晶テレビ分野で低価格攻勢をかけているのは周知の通りだ。とにかく、笑顔が印象的な人物で、新たなことに挑戦していく姿勢はいまも変わらない。（画像をクリックすると、次のページへ進みます）
写真提供：大河原克行
