日本ネットワーク・アプライアンス(ネットアップ)は9月7日、主力ストレージ製品群「NetApp FASシステム」の中堅企業をターゲットとした新製品「FAS2000シリーズ」の提供を開始した。
ネットアップでは、従業員100人から1000人規模の中堅企業を「Midsize Enterprise(MSE)」と位置付けており、今回の「FAS2000シリーズ」は、このMSE市場のストレージニーズに特に応えるものという。
その状況の中で、バックアップやリストアのための時間を確保したり、災害対策を行わなければならないプレッシャーにさらされている点を指摘し、「(FAS2000シリーズでは)使いやすさ、管理の容易さ、ビジネスアップタイムの拡大、電力、冷却コストを含む全体的なコスト削減といった形でMSEにおけるストレージニーズに対応できる」(Clifton氏)とする。今回の新製品は、同社として、今後MSE市場へ戦略的に取り組んでいくという意志の表れでもあるという。
今回、販売が開始されたFAS2000シリーズの2製品は、最大ストレージ容量24.6Tバイト、システムあたりの最大ディスクドライブ数40、ECCメモリ2Gバイトの「FAS2020」と、最大ストレージ容量69Tバイト、システムあたりの最大ディスクドライブ数104、ECCメモリ4Gバイトの「FAS2050」。いずれもストレージプロトコルは、FCP、iSCSI、NFS、CIFSに対応する。
FAS2020は、FASシリーズにおける従来のローエンドであるFAS250/270といった製品のリプレース、FAS2050はミッドレンジ製品である「FAS3020」とローエンドとの間隙を埋める製品という位置づけだ。FASシリーズにおいては、ローエンドからハイエンドのすべての製品を通じて共通のアーキテクチャ「Data ONTAP」を採用しており、管理面、ソフトウェア面での互換性が保たれる。
また、発表会では、ネットアップとVMwareとのパートナーシップについても触れられた。Clifton氏は、「VMwareにより仮想化されたサーバと、その仮想化技術に対応したネットアップのストレージの組み合わせにより、IT展開の加速、アプリケーション可用性の向上、選択の自由度が向上する」と述べ、両社の技術面での緊密な協力体制を強調した。既に、VMwareとネットアップ製品を組み合わせて導入しているユーザーは3000以上にのぼり、用途としては、Exchange、SharePoint、SQL Serverなどを利用する大規模なWindowsファームに加え、Linuxにおけるハイパフォーマンスコンピューティングなどでも使われているという。
日本ネットワーク・アプライアンス、マーケティイング部部長の阿部恵史氏は、今回の新製品について「FASシリーズについては、シングルアーキテクチャのアプローチをとってきたが、従来のローエンドの製品構成では、キャパシティや拡張性の面で、ミッドレンジ製品とのギャップが大きかった。今回発表したFAS2020のエントリモデルは、従来製品よりもコストパフォーマンスを改善しつつ性能を上げ、そのギャップを埋めるもの。ハイエンドストレージで実証済みのアジリティを低コストで実現できる。中堅企業においても、資産としてのデータ価値、コンプライアンスのためのデータの重要性は高まっている。FAS2000シリーズは、価格だけがプライオリティではないユーザーのニーズにも対応できるもの」とした。
なお、FAS2000シリーズも、ハイエンド機種と同様、同社のプロフェッショナルサービスとサポートの対応機種となっている。現在の運用状況と、将来的な成長を見据えた、導入、運用計画を立てることが可能という。
FAS2000シリーズの参考価格は、「FAS2020」(1.8Tバイト:300GバイトSAS×6)が347万7000円より、「FAS2050」(1.7Tバイト:144GバイトSAS×12)が427万5000円より(いずれも税別)。