ソフト業界は35年遅れてオーディオ業界に追いついた--第2回MIJSカンファレンス

宍戸周夫(テラメディア)

2007-11-29 21:38

求められるのは“ベスト・オブ・ブリード”の世界

 MIJS活動の最大の目玉に、技術部会の製品連携がある。これについては午後のセッションで、MIJS副理事長で技術部会部長の梅田弘之氏(システムインテグレータ社長)がこの1年あまりの取り組みを報告した。

 梅田氏は講演の冒頭、「ベスト・オブ・ブリード(Best of Bleed)」という言葉を掲げた。それがMIJS誕生の時代背景だという。

 「従来のソフトウェア会社は、自社のソフトウェアを機能拡張するというスイート製品を提供してきた。しかし、1社ですべてを賄うというのは、ベンダーによって得意不得意がある以上うまく行かない。そこで、これからはよい製品を組み合わせて使うベスト・オブ・ブリードが主流になる」

 これまでのソフトウェアがいわば一枚岩、いわゆるモノシリックな世界であったとすれば、これからは適材適所、つまり優れたソフトウェアを疎結合する世界が受け入れられるということである。続いて梅田氏が分かりやすい例として取り上げたのは音響装置のステレオだった。

 「ベスト・オブ・ブリードとして組み合わせるときにはインターフェースの統一が必要。昔は一体型のステレオが主流だったが、その後コンポ型ということでアンプ、スピーカーなどメーカーはバラバラでもインターフェースが統一されていれば、その方がいいという時代になった。これは35年前のことであるが、IT業界もこのようにインターフェースの統一が必要だという意識が高まった」

 そこでMIJSという基盤で、製品連携に取り組むことになったという。梅田氏は、MIJSでは現在、(1)トランザクション連携、(2)マスタ連携、(3)共通インフラ――という3つの連携を実現しようとしていると説明している。

 梅田氏は「これまでいろいろな標準規格の取り組みが進められてきたが、そのほとんどはエクスターナル(External:外界の、外部からの)な取り組みだった。しかしこれは現実的なニーズには合致していない。これに対し、MIJSはインターナル(Internal:内部の、内蔵の)な規格の標準化を進めている。このInternal連携へのニーズが高まっている」として、MIJSが進めている3つの連携作業の取り組みを説明した。

連携を基盤にSaaSも展開

 MIJS技術部会の製品連携のひとつのテーマがトランザクション連携だ。これについては仕訳データの製品連携の例を示し、各アプリケーションの中央に標準規格の「仕訳トラン」を置くことで問題を解決できることを示した。さらに共通基盤については次のように説明した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. セキュリティ

    Microsoft Copilot for Security--DXをまい進する三井物産が選んだ理由

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]