止まらないニーズへ対応
フライトシステムコンサルティングの原点になったのは画像処理の技術だった。1988年の創業以来、この技術力を背景に映像や音楽データ、数字で扱えないデジタルコンテンツのデータベース化やその管理、配信までのトータルサービスを提供している。多チャンネルデジタル衛星放送の現在のスカイパーフェクTV!(スカパー)が1996年に開局すると、スカパーをはじめ、地上デジタル、ワンセグなど国内の主要な放送局および関係各社のプロジェクトに参画し、映像・動画・音楽などデジタルコンテンツの制作・管理・配信に関するコンサルティングからシステム開発までを担ってきた。
その会社が、現在の主力製品であるクラスタソリューションを生み出すのはいわば必然の流れだった。社長の片山圭一朗氏はこう言う。
「放送局のお客様は当然、24時間365日安定して稼働するシステムを要求されます。しかし、われわれがコンサルティングでお客様のこうした課題を解決しようとするとき、ネックになったのがハードウェアベンダーの箱物でした。放っておくと、ハードがIT予算の大半を占めてしまい、肝心のソフトやシステム開発にコストを掛けられないということがあって、スカパーが開局した当時はデータベースを止めないだけに何億円というハードウェアを提案していたのです。当時はそれ以外手法がなかったのです」
その後インターネットが広がってくると、データベースを止めないだけに多額の予算を割くのはばかばかしいという意識が広まる。同社も、誰かが安価で止まらないコンピュータを出してくれればいいと思うようになったが、なかなかそのようなベンダーが出てこない。そこで、自分自身で止まらないソリューションを開発しようと考えた。
目をつけたのは、米Sun MicrosystemsのSolarisだ。2001年、SunのScott McNealy会長に直談判。PCで動くPC SolarisのOEM供給を受け、これを基盤に「FLIGHT Total Cluster」という国産のPCサーバ二重化ソフトを開発した。
ハードウェアのフォールトトレラントとは異なるが、手軽にシステムの可用性を実現するには格好のソリューションである。2台のPCサーバにFLIGHT Total Clusterを入れると、ユーザーからは1台に見える。システムがダウンしたと思っても実際は2台あるから、FLIGHT Total Clusterが自動的にもう1台を立ち上げると、ユーザーからはシステムが継続して稼働しているように見える。クラスタソリューションの特徴だ。