データセンターに対する要求が複雑化するとともに多様化してきている。ビジネス環境の急速な変化に対応するため、ビジネスと同等のスピードでの変化を求められているのである。また、エンドユーザーにしてみれば、データセンターは稼働していて当たり前、アプリケーションの停止などは許されないものであり、つまり可用性も求められてもいるのであり。
データセンターへの要求はこれだけにとどまらない。ITシステム全体に対するコスト削減も依然として続いている。そこでは、資産の活用を最適化すること、つまり資産コストと運用コストの低減を求められているのである。さらに、この1〜2年のあいだの新しい要求として、環境負荷の低減も求められている。消費電力だけでなく、冷却コストの削減を要求されるとともに、高いエネルギー変換効率も求められているのである。
ブロケード コミュニケーションズ システムズではこのほど、こうしたデータセンターに対する要求の解決策の一つとして、新しいハードウェア「Brocade DCXバックボーン」を発表している。
DCXバックボーンは、これまで同社が提供してきている、電源などを2重化して可用性を高めたファイバチャネル(FC)用の大規模スイッチであるSAN(Storage Area Network)ダイレクタやスイッチとは異なる製品になるとしている。また、DCXバックボーンは、以前から同社が提唱する、データセンターの効率性や信頼性、適応性を向上させる新構想「Brocade Data Center Fabric(DCF)アーキテクチャ」の中核となるハードウェアでもある。
今回発表されたDCXバックボーンがサポートするプロトコルは、1、2、4、8、10GbpsのFCや、FICON(FIbre CONnection)、ギガビットイーサネット、FCコマンドをIP網経由で通信して遠隔地にあるストレージを直接操作するプロトコルであるFCIP(Fibre Channel over IP)、ストレージとサーバ間通信で利用するSCSIコマンドをIP網経由で使うプロトコルであるiSCSIとなっている。
加えて同機では、現在規格策定中の、イーサネット網でFCコマンドを活用するプロトコルである「Fibre Channel over Ethernet」(FCoE)もサポートする予定となっている。DCXバックボーンは、こうした幅広いプロトコルをサポートすることから、従来のSANダイレクタとは異なる製品になると同社では説明している。
米Brocade Communication Systemsのテクニカル・マーケティング部でシニア・プロダクト・マネージャを務めるJohn Oram氏は、DCXバックボーンについて「広範なプロトコルをサポートすることだけでなく、業界初となる8GbpsのFCに対応していることも大きな特徴」と語る。DCXバックボーンは、8GbpsのFCポートを384ポート収納しているが、シャーシをインターシャーシ・リンク(ICL)と呼ばれる専用ケーブルで2台接続することで、最大896個のFCポートを収納することが可能になっている。