だからこそ、ここで宣言します。
「ビジネスコミュニケーションの達人になるには、3文型を徹底的に身体にたたき込むべし!」
「え?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。英語の基本は「5文型」と中学生の時に教わったはずですからね。その通りです。しかし、ビジネスコミュニケーションの達人になるには「3文型」に執着すべきなのです。
ビジネスではシンプルな表現が好まれます。シンプルな表現はわかりやすいですし、非英語圏の人間にとっては文章にしやすいという利点もあります。そして何より、タイミングが重要なビジネスの世界では、シンプルな表現が一番なのです。「SVOO」(主語+動詞+目的語+目的語)や「SVOC」(主語+動詞+目的語+補語)などの第4・第5文型は、日本人の言語発想と合いにくく、会話ですぐに使いこなすのは意外と難しいのです。
例えば、こんな状況を考えてみましょう。ずっと休んでいた同僚のMikeが、ミーティングでJavaの仕様書一覧を持っていません。「それってお前が渡すべき資料だったよな。やつは具合も悪かったのにかわいそうじゃないか」と迫られます。渡したはずなんだけどなぁ、と考えるあなた、そこでどう言いますか?
えーっと、「give」はSVOOの文型を使うんだっけ、それとも「to」を使うんだっけ、いやそれとも…… メールだったら辞書が引けますが、会話だとパニックになって言葉が出てこない。こんな経験、ありませんか?
この場合、あなたが言いたいことを正しく表現すると、
- 例文1: I gave Java spec lists to Mike.
となります。しかし、この正しい表現を必死で考えて引き出さなくても、伝えたいことを思いついた単語だけでシンプルに表現することも可能です。例えば、
- 例文2: I met Mike this morning, and gave Java spec lists.
という表現はいかがでしょうか。
例文2では、朝Mikeに会ったことと、そこで資料を手渡ししたことを強調しています。散々時間をかけて例文1をビクビク話すのと、例文2を即時に言うのでは、どちらの印象がいいでしょう? 答えは明白ですね。これがコミュにケーションです。
実は例文2は文法的には間違いで、本来であればSVOO型の「gave him Java spec lists」とすべきなのですが、ここでは2つの文に分けることでSVOOの束縛から逃れ、気持ちよく話すことができるのです。意思の疎通にも全く問題はありませんし、自信を持って話している分、おそらく声も大きいでしょう。
理想を言えば5文型まで網羅できた方がいいのはもちろんですが、まずは3文型の発想で英語がスラスラ話せ、相手とのコミュニケーションができ、かつ会話が楽しめることを目標にしましょう。間違いは恐れず「3文型!」で決まりです。
次回は、具体的な仕事の現場で3文型を使ったパターンと活用方法を学んでいきます。できるだけ皆さんの職場にあったシーンを考えるので、楽しみにしていて下さいね!
Peace out,
Eric
筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。