ガバナンスは強化し、ツールは相互運用性を重視
リアルコムでは2008年、日本のグローバル製造業数社を対象にした情報系システムにおける相互運用性ベンチマーキングスタディを実施した。それによると、どの企業もガバナンスは強化する一方で、ツールは強固なスイート製品から相互運用性を重視する傾向が見られたという(図3)。
例えば、メールはNotesを使いつつ、情報共有にはブログシステムも導入。情報系を束ねて表示するポータルにはWebSphere Portalを使用しながら、ID管理には統一の基盤を別途構築する、といった具合だ。EUCも放任ではなく、文書管理DBは1種類に限定するなどのきちんとした統制を効かせる形に進みつつあるという。過去と同じ過ちは繰り返さないということだろう。
しかし、そのような混在環境において、ライセンスコストや運用・管理コストが大幅に上昇するようなことはないのだろうか。吉田氏は「実はそれほど重要な問題ではない」と指摘する。企業情報システムのTCOに占めるソフトウェアライセンスフィーは、わずか5〜10%程度に過ぎず、そのほとんどはメンテナンスに必要な人件費であるという。つまり、ライセンスが多少重複することによるロスは、相互運用性の確保とレイヤ構造による変化への対応スピードの向上によって、十分に埋められるというわけだ。
さて、「インタオペラビリティ(相互運用性)の向上」と合わせて、今後のコラボレーション基盤を語る上で重要となるもう1つのキーワードは、「情報の質の向上」だという。具体的には、検索機能を高める、ムダな情報を作らない管理を行う、ログによる情報の使われ方の可視化といったものだ。
次回は、その「情報の質的向上」について考えてみよう。
