業務の断片の組み合わせで独自のプロセスを構築
さらに、ユーザーが独自のプロセスを作る場合は、リポジトリに蓄積された「業務の断片(エンタープライズサービス)」を使う。この業務の断片をSOAの考え方で組み合わせて、自由にプロセスを構築できるようにした。業務の断片も、新しいEhPを適用すればどんどん追加されていくのだ。
これにより、ユーザーは意識することなくSOA基盤を充実させていくことができる。ユーザーは既存のアプリケーションも、SOAで組み合わせたものも、あるいは他社のものも組み合わせて使える、いわゆるコンポジットアプリケーションを利用できるようになるという。
「SOAと言うと、つなぐツールや見栄え良く作るツールが注目されがち。しかし、材料がなければ手組みと変わらなくなる。SAPでは、既存アプリケーションの機能を再利用できるようにし、さらに、あらかじめ準備したエンタープライズサービスを豊富に提供することにより、ユーザーにいつでも有効利用してもらえるようにした」(松村氏)
パッケージとSOAは相反する概念としてとらえられがちだが、SAPは両者の垣根を取り払おうとしている。こなれたプロセスはパッケージを使い、独自のプロセスは手組みではなく、変更しやすいSOAで作るようにプラットフォームを改良したのである。
SAPは、2008年11月21日にEhPの4番目のバージョンである「SAP enhancement package 第4弾」をリリースした。さらにCRM(Customer Relationship Management)、SRM(Supplier Relationship Management)、SCM(Supply Chain Management)、PLM(Product Lifecycle Management)といったERP以外のスイートアプリケーションが、バージョン7.0からは、SAP ERP 6.0と同じテクノロジー(SAP NetWeaver 7.0)の上に乗るようになり、これらの機能拡張についても同じEhPで提供されるようになった。
SAPのERPはSAP ERP 6.0で、変化に強い製品へと変ぼうした。柔軟性が増した分だけ、提供する側も使う側も、スキルセットを変え、活用についてアタマを使っていく必要がある。今後は、古いバージョンを使っているユーザーが、どのタイミングでSAP ERP 6.0のアップグレードに踏み切るかについても注目されるところだ。
