歩数計で四国八十八ケ所をバーチャルウォーキング--「あったらいいな」を実現する企業:日立製作所 - (page 2)

遠竹智寿子

2009-04-21 08:00

 また、企画グループ主任の國近さんによれば、ひと言コメントを書き込んだり、年代や参加グループごとに競い合えるランキング機能があったりと、ソーシャルネットワークサービス的に参加者同士の交流が図れる仕掛けも用意されているとのこと。「チームやグループには最大9名まで登録できます。ひと言コメントは吹き出しの形で出るので、小さな子どもに『パパがんばって!』と励ましてもらいながらウォーキングを続けている例や、到達地点やランキングを確認しながら競い合ったりしている職場の仲間チームなどの例もあります」と國近さん。ウォーキングのデータは、バックエンドでデータベース化されており、健康管理データとひも付けてチェックするなどの活用法も考えているそうです。

 札所に到達するともらえるバーチャルビスケットは、年度末に集計され、日立健保からWFP国連世界食糧計画へ寄付されます。楽しみながら運動を続け、その上社会貢献までできてしまうとは、何と素敵な健康対策でしょう。ハッピーヘルシープログラムが開始されて半年以上が経過しましたが、現在の登録者は約1万2000人近くになり、その多くがウォーキングプログラムに参加しているとのことです。

実際のダイエット効果も

 2008年から、特定保健指導やメタボリック対策が健康保険組合などの医療保険者に義務づけられるようになりましたが、どうも「指導」という言葉には堅苦しいイメージがつきまといます。押し付けがましくなく、それぞれが「5年後、10年後も明るく楽しく健康でいるために、明るく楽しい取り組みをしましょう」というコンセプトを持って制作されたのがこのウォーキングプログラムだそうです。

 また、ハッピーヘルシープログラムには、計るだけでダイエットできるという「はらすまライト」というコンテンツも用意されています。日立健康管理センターの中川徹先生が考案した「内脂肪撃退プロジェクト」の考えを元に制作されたもので、オリジナル川柳で綴ったダイエットメニューカードが用意されていたり、「今日は飲んでしまった」などの言い訳を書き込めたりと、ダイエットを長続きさせるための仕掛けが満載です。

 こうした各健康プログラムはどのように企画されているのでしょう。「まずは47万人というスケールメリットを生かした内容が提供できるか、そして、どうしたら皆さんに参加してもらえるかという視点から、企画チームと一緒にプログラムを考えていきます。あまり重荷にならないよう、日頃からできることは何かと考えた時に、今まで3000歩 歩いていた運動量を少しだけ増やしてみるとか、タクシーに乗っていた距離を歩いてみるとか、ちょっとした意識を持つことが生活習慣になっていく。そういう部分を楽しく無理なくできるような仕組みを提供するのが、私たちの役目だと思っています。『保健指導』も必要ですが、『自己啓発的に参加』できる楽しい仕掛けを考えて支援するのが、ウォーキングやダイエットプログラムなんです」と、角脇事務局長は説明します。

 日立健保には、日立ハッピーヘルシープログラムの参加者たちから「職場での楽しいレースになっています」、「1人ではできないダイエットも仲間がいるので続けられます」、「職場の上司と勝負中」、「健保の応援があると思うと頑張れる」などの声が寄せられています。また、「昨年末から始めて約3カ月で体重8kg減に成功しました」、「目標にしていた体重を下回り(70kg → 66kg)、ウエストも3〜4cm細くなり、数字の上ではメタボと離別できたようです」など、実際のダイエットの成果も見えているようです。

 最後に「さらに参加してもらえる仕組みや施策を考えなければと思っています。花火を打ち上げて終わりではなく、長く続けることが大切ですから。健康への取り組みとはそういうものですよね」と角脇事務局長。新しいコンテンツとして、職場や家庭で簡単にできるストレッチ運動の映像を間もなく提供予定とのこと。ウォーキングプログラムでは、2009年5月末に新ルート「五街道巡り」をオープンする予定で、そこでは宿場の豆知識も準備されているそうです。

 会社の健保組合がしっかりと支援してくれる、楽しい健康増進やダイエットのためのプログラムなんて、本当に「あったらいいな」と思ってしまいました。まだプログラムに参加していない日立グループの皆さん! 1人ではなかなかダイエットや健康管理が難しいと感じているのなら、こんな身近にある便利なプログラムを利用しない手はないですよ! うらやましいです!

 それでは、今回はこの辺で! あなたの会社のユニークな制度についての情報も、ぜひお寄せくださいね。

「あったらいいな」を実現する企業:ファイル4
社名日立製作所
事業内容情報・通信システム、電力・産業システム、デジタルメディア、昇降機、自動車機器等の開発、製造、販売、ソリューション提供、及びこれに関連するコンサルティング、サービスなど
設立1920年2月
従業員数4万223人(連結従業員数38万9752人)
資本金2820億円

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