− Software AGの業績は、現在の世界的な不景気と逆行する好調なもので驚いています。一般にBPMというと、非常にお金がかかるため、不況時に導入するものではないというイメージもありそうですが、違うのでしょうか。
景気後退期は、それが終わったときのために、会社がコスト削減をして、調整をしなければいけない時期です。また、危機の時代が終わったときに、よりパワフルであるための準備をするべきときです。
事業規模の縮小だけで、パワフルになることはありえません。「パワフルになる」というのは、プロセスを自動化し、部門間を密接に統合することで可能になります。危機の時代だからこそ、われわれの提供するツールは、会社をより効率化し、生産性を上げ、競合優位性を高めるのです。
(Brookes氏)実は、BPMを導入するのに良い時期、悪い時期というのはありません。いつであっても、BPMを導入してプロセスを効率化することは、企業に良い影響を与えます。ただ、景気が良いときは、「売る」ことが中心になって、社内に目を向ける機会が少なくなります。逆に景気が悪いときは、システム上の問題など、社内のことに目が向いてきます。今は、社内の体質を強くするための時機でしょう。Software AGが日本で成功している理由のひとつは、短い時間で定量的に改善の結果を出せている点だと思います。
− かつて、ビジネスソフトウェアと、ミドルウェアと、BPMコンサルティングを行うベンダーはそれぞれに独立していましたが、ここ数年でそれらのベンダーの統合が大幅に進みました。アプリケーションを持たないSoftware AGとしては、そうした状況をどう見ていますか。また、独立系ベンダーのBPMを選ぶ理由はどこにあるのでしょうか。
顧客は独占を嫌います。例えば、かつてはIBMがすべてを売っていましたが、主流は「スタンダードコンポーネント」に移ってきました。顧客は、1つの独占的な事業体に頼らなければならないというのが嫌で、何らかのフレキシビリティを求めています。そこでわれわれは、中立性のある独立系のミドルウェアカンパニーであるという位置づけをしています。
ハードウェアもアプリケーションも売らない代わりに、われわれは中立性を保ち、柔軟性と俊敏性を売るスタイルをとっています。
− Software AGのような、アプリケーションを持っていないベンダーから見て、従来のようなビッグバン導入型のアプリケーションは、今後どうなると見ていますか。
「それさえ入れればすべてOK」というスタイルは、今後は流行らないのではないでしょうか。理由としては、フレキシビリティが無くなり、他社との差別化ができなくなる点が挙げられます。柔軟性がなく、差別化ができないシステムでは、市場のリーダーにはなり得ません。
(Brookes氏)1社統一のシステムは、今日の市場状況から考えるとリスクが高すぎます。Software AGでは、そんな大きなコミットは求めていません。小さなステップで、少しずつ導入すれば、そこで確実に結果を出していく自信があります。最終的に、われわれに対して信頼を寄せてくれればよいと考えています。
− ソーシャルBPMのほか、今後1〜2年の間にSoftware AGが新たにトライしようとしていることはありますか。
われわれはいつも新しいスキームに挑戦しています。だからこそ、Gartnerのクアドラントでも、常にリーダーの位置をキープできているのです。方向性としては、まず、使い勝手の向上、そして、ソリューション導入までの時間を可能な限り短縮し、TCOを最低限まで下げるということです。これらの点で、われわれは常にイノベーションをもたらそうと努力しています。