同社は「Oracle Quality」の活用により、できるかぎりアドオンを減らすことを実現した。「Oracle Quality」は、データベースレイアウトの追加、項目追加や画面追加開発が定義だけで可能であることが特徴で、同社はこれを活かして開発工数を削減。加えて、新規サービスへの対応もしやすくなったという。
業務継続性を優先して円滑に導入、移行
一方、円滑な導入と移行についても、いくつかのポイントが注目される。業務継続性を最優先し、約3000万件におよぶマスタデータは独自開発のツールにより移行させた。また、リスクをなるべく小さくするために1支社を先行させてサービスを開始した。
その結果、先行した1社の初期トラブルを分析することが可能になる。重要課題について緊急対応も実施している。さらに、リスク分散のため全国展開の際には段階的に対処し、システムを停止させないよう新旧混在の状態で、更新可能かつ並行的な環境を整えるなどの策を講じた。
エンドユーザーである従業員に対しては、代表者による推進会議を定期的に開催するとともに、専用ウェブサイトを開設して最新情報を公開。電子会議室を設け、意見交換の場とした。さらに、各支社のキーマン237人に集合教育を実施したほか、全国キャラバンの操作教育も実施した。
加えて「4000人を対象としたeラーニング製品による教育も効果があった」(吉田氏)という。
年間15億円のITコスト削減を実施
同社は24時間365日、システムを止めずに稼動させるため、東西2カ所に施設を設置。メインフレームとオープンサーバを核に、双方向で同期している。同社はここに、管理、監視、自動化を担う「Oracle DataGuard」を適用し、限りなくシステムダウンをゼロに近づける「Near Zero Down」のソリューションを実現している。
これらの革新の効果は目覚しく、システム統合によってITコストは年間15億円削減することができた。また、全体の作業量は大きく効率化され、作業確認や報告などの時間は年間約30万時間削減された。
さらに、パッケージの採用により開発規模をおよそ70%削減した。同社では今後もさらに前進することを目指しており、予防保守サービスへのパッケージ適用や、地図情報との連携などを考えている。