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“経営を支える”会計を理解する--「財務会計」と「管理会計」は別モノか? - (page 2)

斎藤和宣(ディーバ)

2009-09-02 08:00

 ここまで整理したように、基盤としての財務会計、その上に載った管理会計、開示会計といった関係が、この3つの会計には存在する。会計の関係を理解した上で、連結経営を実現するための仕組みを考えることは非常に有用なことである。

 日本の会計基準でも、セグメント情報等の開示基準が変更され、3つの会計の関係も微妙に変化してきている。いわゆる「マネジメントアプローチ」である。これにより、開示される情報が、経営における最高意思決定機関に報告される情報に基づいていることを考えると、セグメント情報という開示情報が、管理会計を基礎とする情報になっており、管理会計が開示会計の領域との重複部分を増してきたと捉えている。

決算期のズレが引き起こす“断絶”

 財務会計と管理会計の関係でもう一つはっきりさせておきたいことがある。それは基盤となる財務会計と、その上に存在する管理会計との関連性/整合性の問題である。

 財務会計と管理会計は並列関係にあるものではなく、基盤と、それに載っかる会計技術の話であり、両者の整合性は想像より容易だと思われる。よく、“財管(制管)一致”と表現され、財務会計と管理会計を一致させるべきか否かで議論されることがあるが、一致させないと主張するケースでは、実は財務会計ではなく開示会計のことを指して、管理会計との関係を論じてしまっていると理解している。

 また、冒頭の担当部署の違いについても、実は、財務会計の多くの部分だけでなく“開示会計”を担当する経理部門と、管理会計を担当する企画部門という関係であるからこそ、並列にならべていたのである。

 ただし、財務会計と管理会計には厄介な問題が存在する。決算期のズレに関する問題だ。

 日本企業は3月決算会社の比率が高いが、特に海外子会社には12月決算会社など、決算期の異なる企業で構成されていることが多い。その上で、財務会計と開示会計の世界では、期ズレのまま連結決算を行う企業群も存在している。

 グループ会社への投資が、純粋な投資案件としてであれば、それもあるかもしれないが、それ以外の業務的な連携が存在する場合には、おそらく管理会計において同月業績の測定を行っているのが世の中の平均像だと考えている。このケースだけは、財務会計と管理会計の関連性が全く上手く説明できない、断絶ができてしまっている状態だと表現できる。

 連結経営を実践するにあたって、財務会計と管理会計、そして開示会計の関係を整理し、頭に入れておくことは有用なはずである。ところが、この財務会計(実は開示会計と言った方が正確だろう)のルールとなる会計基準が不変のものではなく、どんどん変わっていく。さらには異なる体系に切り替わることさえある(例を一つ挙げるなら、IFRSへのアドプション)のが、事態を複雑にしているかもしれない。

筆者紹介

斎藤和宣(SAITO Kazunobu)

株式会社ディーバビジネスソリューションユニット第2クループ長。公認会計士。1968年生まれ。1992年慶應義塾大学経済学部卒。青山監査法人、プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBMビジネスコンサルティングサービス)を経て、2002年ディーバへ入社。大企業の連結経営会計にかかわるコンサルティングや、会計システム導入のプロジェクトマネジメントを多数手がけ、現職にいたる。

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