IT戦略の立案と経営層からの支援獲得がうまくいかない理由としては、次のような要因を挙げることができるでしょう。
- 経営者の理解度が低い
- CIOが経営の言葉でうまく説明できていない
- IT戦略そのものに説得力がない(定義があいまい、具体的な数字がない、経営戦略との関係が明確でない……)
こうした原因が考えられますが、要は経営者への訴求度が低いのです。そこで、経営者への訴求度が高いIT戦略の内容について、ちょっと考えてみましょう。ポイントは次の2点です。
- 経営戦略とひも付いた表現
- 数字的なコミットメント
経営戦略とひも付いたCIOの「表現」
IT戦略の具体的なドキュメントは「IT中期計画書」あるいは「IT事業計画書」のような形で表せます。作成のタイミングは中期経営計画と同じタイミングか、中期経営計画を受けて作成するかのどちらかでしょう。つまり、経営計画で唱えているテーマや施策をITでどう実現していくか、このひも付けが非常に重要です。
IT戦略が経営戦略と結びついていない、あるいは結びついているのかどうか判らないと、経営者はその必要性を理解できません。そうなると当然、支援も限定的となります。逆に言えば、CIOは経営戦略を明確に理解し、ITがどこで貢献できるか、どう貢献していくかを、IT戦略として作っていく必要があるのです。だからこそ、CIOは経営層の一員でなければならないのです。
「ITコストを削減します」「いくら削減するの?」「……」
経営計画に準じて作成するのですから、当然、ITの中期計画も数字的なコミットメントが必要になります。経営の効率化やコストダウンを説く場合、CIOはITコストの削減額について具体的に言及する必要があるのです。