日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は12月3日、次世代ITインフラ実現のための新戦略「HP Converged Infrastructure」を発表した。また、この戦略を支える統合インフラ「HP BladeSystem Matrix」の強化やコンサルティングサービス、そして新データセンターサービスも同時に発表した。
日本HP エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 インフラストラクチャーソフトウェア・ブレード事業本部 事業本部長の正田三四郎氏は、「企業におけるITコストの70%が管理や保守によるものだという数字が示されて久しいが、仮想化技術の導入が進んでいるにもかかわらず、この数字はあまり変わっていない」と指摘する。それは、「これまでのプロセスや容量制限などがある中で仮想化を実装しても、さらに管理が複雑となってしまうためだ」と正田氏。
こうした課題に対する戦略となるのがConverged Infrastructureだと正田氏は言う。この戦略に基づいたアーキテクチャでは、コンピュータやストレージ、ネットワーク、電源冷却などの既存リソースの統一管理が可能となり、データセンターの仮想化および自動化が実現するという。
まず日本HPでは、Converged Infrastructureの中で統合インフラ製品となる「HP BladeSystem Matrix」の管理ソフトウェアを「HP Insight Control」と「HP Insight Dynamics」の2つに統合し、機能を強化した。HP Insight Controlでは、仮想マシンの移行を管理する機能や、マイクロソフトの運用管理製品「Microsoft System Center」と連携する機能を追加した。また、HP Insight Dynamicsでは、プロビジョニングやサーバ移行を行うインフラストラクチャオーケストレーション機能、仮想環境におけるHP製以外のサーバのノードおよび仮想マシンの可視化、仮想マシンの論理サーバ管理、キャパシティプランニング機能、アプリケーションのリカバリ機能などが備わった。
日本HPでは、Converged Infrastructureの導入に関するコンセプトの構築から実際の運用や実装までを可能にするコンサルティングサービスも開始する。サービスの種類は、「HP Converged Infrastructureビジョン策定ワークショップ」「HP Converged Infrastructure計画立案サービス」「HP Converged Infrastructure設計および導入サービス」の3種類だ。
ビジョン策定ワークショップでは、新インフラの生み出す価値について説明し、活用方法を検討、結論を導き出す。計画立案サービスでは、Converged Infrastructureを導入するための移行ロードマップを作成する。設計および導入サービスでは、Converged Infrastructureの基盤の設計や、移行がスムーズにできるような組織設計、テクノロジ管理、移行管理などをサポートする。
日本HPはさらに、新たなデータセンターを東京近郊に開設した。同データセンターでは、HP BladeSystem Matrixを採用しており、サーバスペースを提供するハウジングサービスや、運用管理から監視サービスまでを含めたオールインワンパッケージ型のアウトソーシングサービスを提供する。サーバスペースのみならず、回線や電気料金も従量課金方式で提供するため、定額料金方式と比較すると20〜30%のコスト削減が可能だという。
新データセンターは、Converged Infrastructureのショーケースとしても活用する。また、今後は「ITのリソースをサービスで提供できるクラウド型ITデリバリセンターを実現させたい」(日本HP エンタープライズサービス事業統括 マネージドサービス統括本部 ビジネス開発部 藤澤誠氏)としている。
正田氏は、「統合インフラのコンセプトは他社も打ち出しているが、すべてを統合して提供できるのはHPだけだ」と主張する。その理由として同氏は、「ネットワークやストレージ、サーバ、データセンターなど、HPではすべて自社で基本技術を開発しており、それぞれの製品がそれぞれの分野で高いシェアを持っている。また、それらはHPのプロプライエタリな製品というわけではなく、標準プロトコルで開発しているため、他社製品との互換性も高い。さらにHPでは、流通経路も豊富で、アウトソースやクラウド経由などさまざまな形態で製品やサービスを提供できる」としている。