新PCと新OSに投資を続けなければならないのか?
シトリックス・システムズ・ジャパンは、サーバ仮想化製品「XenServer」の無償化や、デスクトップ仮想化の新製品「Citrix XenDesktop 4」の発表、米国本社Citrix Systemsの社長兼CEO、Mark Templeton氏の来日会見など、2009年もIT業界に多くの話題を振りまいた。
同社取締役会長の大古俊輔氏は、「お客様と一緒に従来の考えを見直して、パラダイムシフトをしなければならなかった」と2009年を振り返る。従来の枠組みを変えていくなかで、XenServerの無償提供も決まったのだという。
「サーバ仮想化の次はクライアントの仮想化、そしてそれがデスクトップの仮想化につながる。(クライアント仮想化は)日本では1万7000社が使っている」と語る大古氏に、2010年の展望、ユーザーの動向を聞いた。
2010年の仮想化のニーズをどうみているか?
2009年の経済情勢は厳しいものがあった。そのせいか、投資対効果をきちんと見直そうという動きがある。従来のIT投資には一種の「価値」に対して投資するというメンタリティがあった。それが、ITへの投資を機会として、ビジネスのやり方をもう一回見直そうという前向きな動きになったのだ。
一例としてPCのリプレースを考えてみたい。PCを5年に一度更新する場合、一度にすべてを取り替えたり、5分の1ずつ入れ替えたり、我慢してそのまま使い続けるなど、さまざまなやり方がある。しかし、こう考えてほしい。入れ替えるのはいいが、来年以降はどうするのか?最新のソフトウェアが動作しないから、PCのテクノロジが古くなってしまったからといって、物理的に入れ替えていく必要があるのだろうか?
新しいアプリケーションを今のPCでは使えない場合、PCはそのまま利用して、アプリケーションを新しい仕組みで使えないだろうか、と考えてみればよい。アプリケーションをサービスとして使う「クラウドコンピューティング」が話題だが、PCが持っているサービスや機能を、他の場所でサービスとして使う「デスクトップ仮想化」というものがある。
デスクトップ仮想化は、物理的なデバイスに依存しない。将来を見据えた投資を考える場合、5年前と現在では使用しているPCが違うだろう。また、携帯電話やスマートフォンなど、ビジネスでもフロントエンドのインターフェースに変化が起きている。また、故障を見込んでPCを余分に確保するという方法を採用している企業もある。しかし、それは無駄になるのではないか。デバイスに依存せずにITを活用できる道を探ることは、将来を見据えた投資を考えることにつながる。
厳しい経済環境のもと、お客様には投資対効果を上げると同時に、将来に渡って利用できるものがほしいという2つのニーズがある。景気が上昇局面に入る時など、必要な時に、必要な人に、すぐにITを展開しなければならない。デスクトップそのものもオンデマンドのサービスになっていいのではないだろうか。