日本オラクルは、競争優位を実現する経営革新と情報システムについて、先進企業の取り組みを交えて紹介する「Oracle Applications Summit 2010」を開催した。
基調講演は「“ニューノーマル”時代における成長戦略と経営革新〜Smart Strategies:Your Road Map to the Future〜」と題し、米Oracleでアプリケーション開発担当シニア・バイス・プレジデントを務めるSteve Miranda氏、アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)常務執行役員 日本担当チーフ・インフォメーション・オフィサー(CIO)の福島行男氏、日本オラクル アプリケーション事業統括本部 常務執行役員/統括本部長 保々雅世氏が登壇した。
変化することが常態の「ニューノーマル」時代
ニューノーマルとは、ノーマル(通常)ではなく、常に変化が起き続けることが前提であることを意味する発想。Miranda氏は「このような時代に成功を収めるためには、これまでとは違ったやり方で能力を発揮することが重要になる」と話す。
Oracleがさまざまな企業のCEOに対し「長期間、継続的に成長するために重要だと考える自社の競争優位性は?」とたずねたところ、95%が「変化への対応能力」、96%が「重要なタレント(人材)へのアクセスと確保」との回答だった。
Miranda氏は「ニューノーマルの世界で優れた能力を発揮するにはどうすれば良いのか。多くの企業は、既存のものを単に置き換えるだけでは不十分だと考えているようだ」と語る。
ニューノーマル時代のただ中で、企業は多くの課題を抱えている。ITの進化によって多くの情報を得られるようになった結果、顧客は従来の窓口の代表格であるコールセンターだけでなく、電子メールやウェブなどの手段でコンタクトを取るようになった。一方の企業側では、顧客を自社の製品やサービスに定着させることが困難になっている。製品開発の領域では、技術革新が高速化して競争が激化しており、最適な製品を見極めて適時に市場投入することが求められる。さらに、優れた人材の確保と育成が困難になってきた。
Miranda氏によれば、Oracleは電子商取引や電子課金などの機能を担う「Siebel Self-Service」を提供している。また、Siebel Loyalty Managementを使うと、顧客の購買および行動パターンを分析できる。製品開発支援の面では、「Agile Product Lifecycle Management」を擁しており、人材確保と教育の分野では「PeopleSoft Enterprise Human Capital Management」(HCM)があり、顧客対応の効率化、顧客の囲い込み、製品開発、人事などで効果を上げているという。
さらに、Miranda氏は、需要の正確な検知、内部統制、法令順守、危機管理、業績分析などの改善が重要であることを強調し、「Oracleはこの数年で、50件以上の企業買収を行い、過去5年で開発投資は3倍ほど増やし、1万以上の製品を擁している」と述べている。多岐にわたる課題に対応できる製品とソリューションを、Oracleはほとんど網羅していることを強調するとともに、「IT以外の産業では完全なソリューションを提供している。たとえば、自動車は買えばすぐに運転できるが、IT業界は部品を提供するだけで、企業はそれを組み合わせて使っていた。しかし、Oracleは完全なソリューションを目指す。業界標準のアーキテクチャを用い、最終的に統合化された環境を実現したい」と述べた。
ビジネス戦略とITは合致したものであるべき--アフラックの戦略
アフラックの福島行男氏は、景気の低迷、人々の意識やライフスタイルの変化などにより保険業界も大きな変化にさらされ「大競争時代に入っている」と述べる。