NECは2月23日、三井住友銀行に対し、プライベートクラウドサービスの提供を開始すると発表した。同サービスは、3月から三井住友銀行本部で試行を始め、2011年中には同行の全部門に利用を拡大していく予定だという。
同サービスは、NECのブレードサーバ「Express5800 SIGMABLADE」やストレージ装置「iStorage」などのハードウェアをベースとしたクラウドサービス基盤を、三井住友銀行のデータセンター内に設置し、運用保守まで含めてサービスレベルを明確にしたサービスとして提供するもの。NECはOMCS(Open Mission Critical System)で培ったSI技術やノウハウを活用し、同基盤を用いてサーバ、ストレージ、ネットワークの仮想化環境や、一元化した運用環境を提供するとしている。
三井住友銀行は、サーバCPUはコア単位課金、ミドルウェアはオプションサービスとして、IaaSおよびPaaSの利用を開始する。これにより、ニーズに応じて「使いたいときに使いたいだけサービスを利用する」ことができ、効率的なシステム利用が可能になるとしている。
また同行は、交通費精算システムのSaaS利用も開始する。同サービスは、NECが自社で利用しているシステムをSaaSとして導入することで、初期投資を抑えつつ、短期間で高品質なサービス提供を実現するもの。同サービスの導入により、現在、行員が紙の資料で申請、承認を行っている交通費精算事務をウェブ上で行えるようになり、ペーパーレス化と業務効率化の推進を図れるという。
同サービスの利用者は、今後、各種のシステムをこのクラウドサービスへ集約していくことで、システム管理業務にかかる負荷を軽減し、戦略業務へのリソースシフトが可能となるという。また、リードタイムを短縮したシステム導入により、ビジネスニーズへの迅速な対応も可能だとしている。今回、三井住友銀行では、同サービスを利用することで、当該業務システムを自社構築した場合と比べ、40%近くのコスト削減ができるものと見込んでいる。