日本のメーカーでは、ソニーが新たな液晶パネルであるクリスタルLEDを投入、パナソニックがスマートテレビとして新たなデザインを採用した新ブランド「スマートビエラ」を発表したのに加えて、47型と55型の液晶テレビを新たに発表。シャープは大画面戦略を加速させ、3D対応の80型液晶テレビを展示してみせた。
その一方で、米国では白物家電でナンバーワンシェアを持つLGやサムスンは、冷蔵庫や洗濯機などをネットワーク接続した製品を展示し、新たな家電の世界を展示してみせた。これまではデジタル家電が中心だったCESにおいて、今後は白物家電の展示が増加することを予感させるものであり、来年のCESでは日本の電機メーカーからも白物家電の展示が行われる可能性もありそうだ。
日本のメーカーは「周回遅れ」から脱却せよ
日本の電機大手の首脳陣も今回のCESには数多く来場した。
パナソニックの大坪文雄社長や、ソニーのハワード・ストリンガー会長と平井一夫副社長、シャープの片山幹雄社長などが会場を訪れ、自社ブースだけでなく各社のブースを視察した。
パナソニックの大坪文雄社長は「ここ数年、CESにおける韓国メーカーの勢いには目を見張るものがある。有機ELテレビをCESの会場で堂々と展示しており、市場投入はそう遠くないであろうと感じた。サムスンはすべてのAV商品がネットワークにつながり、これらの製品でコンテンツを共有できるようになっている。LGはつながるという提案に加えて、個々の単品だけでも訴求できるすばらしい改善が商品のなかにある。パナソニックもそうなっていなければいけないと感じた」とする。
昨年のCESではサムスンが狭額縁の液晶テレビを発表し、デザインにおける先進性で他社を圧倒した。今年のCESでは、日本のメーカーがこれにキャッチアップしたものの、サムスンやLGはひと足早く大画面有機ELテレビを展示。日本のメーカーは、既存の液晶テレビを軸とした拡大戦略に留まったともいえる。
来年のCESでは、日本のメーカーも大画面有機ELテレビに踏み出すことになるだろうが、それでは1年もの「周回遅れ」が継続するばかりだ。
日本のメーカーの元気ぶりが伝わりにくかった今回のCES。来年は国内のメーカーから市場をリードするような製品の展示を期待したいところだ。