2月2日にソニー、2月28日にパナソニック、3月14日にシャープと、わずか1カ月半の間に電機大手3社の社長交代が発表されるとは、多くの人が考えてはいなかっただろう。
ソニーは、ハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO)が3月31日付けでCEOを退任し、6月には代表執行役会長を退任して取締役会議長に就任。平井一夫副社長が4月1日付けで代表執行役社長兼CEOに就任する社長人事を発表。パナソニックは、6月27日付けで大坪文雄代表取締役社長が代表取締役会長に就任。津賀一宏代表取締役専務が代表取締役社長に就任すると発表。また、シャープは、片山幹雄代表取締役社長が、4月1日付けで代表権がない取締役会長に就任し、奥田隆司常務執行役員が社長に就任。6月開催の定時株主総会および取締役会を経て代表取締役社長に就任する。
業界筋では、長期政権となっていたソニーの社長交代は予想されていたものの、パナソニックの社長交代については、年明けにも大坪社長が続投への意欲を見せていたことから微妙な線で捉えられていた。だが、創業者である松下幸之助氏が社長を退いた66歳を超えての社長経験者がパナソニックにはいないという不文律に照らし合わせると、今年66歳の大坪社長の続投はないという見方が根強く残っていたのも事実だ。
一方、シャープは、ほぼノーマークのなかでの社長交代だ。社長を退く片山氏の54歳という年齢は、前任の町田勝彦氏が社長に就任した年齢と同じ。長期政権が前提となっているシャープの社風からしても、しばらくは片山社長体制が続くとみられていた。この予想を覆したばかりか、奥田次期社長は58歳と、若返りとは逆の道を歩むことになる点も驚きだ。
ソニーの平井次期社長は交代会見のなかで、新体制のマネジメント方針や、4つの重点施策を明確に示した。これに対して、パナソニックの津賀一宏次期社長は「エコ&スマート」という新たな言葉を提示したものの、具体的な方針には言及しないまま。シャープに至っては、奥田隆司次期社長が「事業戦略、財務戦略については、改めて公表する場を設ける」としており、これらのコメントからも各社の社長人事への経緯が推測できるともいえる。
3社に共通しているのは、いずれも2011年度業績見通しで大幅な最終赤字を計上するという点だ。