ソニーの平井一夫社長が4月12日に行った経営方針説明会で、終始強調したのがソニーの「変革」である。
「ソニーを変える。ソニーは変わる」「ソニーが変わるのは、いましかありません」——。
平井社長が会見の冒頭から強調したのは、今後のソニーの変化を宣言するものだった。そして最後のスライドには、2014年度のグループ売上高8兆5000億円、営業利益率5%以上、ROE10%といった経営目標を示し、ソニー変革のゴールの姿を描いてみせた。
ソニーは2011年度(2011年4月〜2012年3月)の業績見通しが、過去最悪の5200億円の最終赤字になると発表している。2012年4月1日からスタートした平井体制は、まさにどん底からのスタートとなる。
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その点で、ソニーに残された道は「変わる」ことしかないのは明らかだ。
どうなったら「変わった」ことになるのか
平井社長は「必ずやソニーを変革し、再生させることを改めて決意している」「ソニーの変革を望む、変革を後押しするという励ましの言葉を、ステイクホルダーの方々からもらっている」「必ずソニーは変わると信じている」「私は本気で、社員と一丸となってソニーを変えていく」という言葉のほか、「今日の経営方針説明は、厳しい状況からソニーをいかに変え、成長させるか。それに向けたものになる」と、何度もソニーの変革に取り組む姿勢を強調した。
そして、ソニーの変革を促進する新体制は「One Sony」と「One Management」だとし、平井社長自らがリーダーとなり、強い意思で取り組むことを示した。
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では、ソニーの変革は、なにを持って推し量ればよいのだろうか。
ソニーグループの最優先課題であるエレクトロニクス事業の再生は、当然ともいえる指標となる。8期連続のテレビ事業の赤字、そして連結業績での4期連続の最終赤字からの脱却は、「復活」という意味で、最低限の水準として達成しなくてはならないものだといえよう。
「事業経営のスピード、長期戦略に基づく投資領域の選択と集中、イノベーティブな商品・サービスおよび技術開発力、テレビ事業の8期連続の赤字の黒字化——エレクトロニクス事業においては、この4つの課題を解決できなければ、ソニーの再生もその後の成長もない」とする。
そして、本社組織、事業子会社、販売体制の再構築を進め、2012年度には全世界で1万人規模の人員削減を実行することを発表。事業再編後の新たな体制も、変革の姿を推し量る物差しになろう。
事業性の判断に関しては、「損失計上、低収益、営業キャッシフャフローがマイナスであること」「重点事業領域に対するシナジーが少ないこと」「製品のコモディティ化が進み、成長が見込めないこと」「ソニー単独での事業継続よりも、他社との提携の方が再生、成長の可能性が高いこと」をあげ、これらに合致したものが事業再編の対象になることを示した。
しかし、ソニーにとって最大の復活を示すバロメータになるのは、とにもかくにも「ソニーらしい製品」を創出できるかどうかである。