後半は、SAPの小売り分野の顧客3社を招いてのパネルディスカッションとなった。トレンチコートが有名な英国の老舗Burberry、自動販売のCoinstarの子会社RedBox、そしてホームセンターのAceだ。
Burberryは約6年前にSAP導入を開始して、これまで世界約80カ国で相互運用性のないバラバラのプラットフォームで運用していたシステムを単一のグローバルシステム体制に移行させた。CEOのAngela Ahrendts氏によると、最初は難しかったが、現在はバックエンドの90%がこのグローバルシステムで動いているという。
単一システムの導入により、フロントエンドのデジタルイノベーションも進めることができた。たとえばオンラインショッピングでは、世界約200のメディア企業と提携し、1クリックでの購入、チャットなどが24時間8言語で行えるという。
「グローバルカンパニーなら単一のプラットフォームにすべき。新しいモジュールを容易にロールアウトできる」(Ahrendts氏)
Ahrendts氏はさらに「SAPと共同で作業を行うことで(当初のインフラ導入にとどまらない)ビジョンが生まれた」という。現在、担当チームはSAPと協業するためにロンドンからサンフランシスコに移り、インフラの活用とビジョンに向けて開発を進めているという。
Ahrendts氏はHANAのスピードを賞賛し、社内で紹介するのに「Heart of the organization that gives Access to information in Nano Second for Awareness」の頭字語だと説明しているそうだ。

SAPはこの日、モバイルに関して2つの発表を行った。
1つは、最新のモバイルアプリケーションとアプリストアに関するもので、旅費報告の「SAP Travel Expense Report」などのモバイルアプリを発表したほか、アプリストアでは「SAP Store」のiPad向けHTML5版、iOSとAndroid向けのネイティブアプリを集めたSAP Storeの最新版を発表した。

2つ目は企業のモバイル端末管理に関するもので、Amazon Web Services(AWS)と提携し、AWSのマーケットプレイスでSAPがSybase買収で取得したモバイル端末管理ソリューション「Afaria」を提供する。
SAPは今年創業40周年を迎え、SAPPHIRE Nowは22回目の開催となった。今回は5月17日までの3日間、参加者は約2万人に達することが予想されている。