ITを体系的に理解するということ - (page 3)

宮本認 (ガートナー ジャパン)

2012-08-28 12:00

「はい。うろ覚えで申し訳ないんですけど、ドラッカーの『マネジメント』が、これに近い構成になっているからです。『マネジメント』は“業績を上げるためにある”という存在意義に始まり、マネジメントをするために経営管理者が、仕事、職務、技能、機構を作り、戦略に応じて組織構造をアレンジしろって書いてあるんですね。言うなれば、『マネジメント』も企業経営の道具として説かれているんですが、同じ企業経営の道具であるITも、同様の理屈で説明しても構わないんじゃないかなと思って」
「相変わらず理屈っぽいねぇ。まぁ、そういうところ、嫌いじゃないんだけど。納得はしてないけど、いいか。それで行ってみよう」
「……」
「でもさぁ、例えばITって進化してるでしょ? それを考えると、今、宮本君が言った3つのことで足りるのかなって思ったりするんだけど……。そのへんは、どうなの?」
「副社長、さすがです。確かに進化しているITなんですが、その進化には、傾向があるような気がしてます。こういうのも何ですが、これまでの経験を通じて、押さえておくべき進化ってわりと簡単に理解したほうがいいような気がしています」
「ほう、宮本君らしくていいじゃないか」
「……」
「え? なんか変なこと言ったか?」
「いえ、副社長と話していると、なんか調子狂うんですよ」
「当たり前だよ。君は言葉を操って頷かせるのが上手いんだから、頷いてちゃ術中に落ちて、何を言われたか後でわかんなくなるんだよ。だから、たまに話の腰を折ってあげないとね。これでも、気を遣ってるんだぞ」
「はいはい。で、話をもどします。もう、腰は折らないでください。では、ご要望にお応えするために、こういう、話をさせて頂きます。内容は、

  • ITのこれまでの進化とこれからの予測
  • ITの存在意義
  • ITの構成要素
  • ITの活用方法

ということで、文句言わないでください」
「ま、いいかな。でも一回目は、今日、今からにしてくれない?」
「えっ?」
「やるの? やんないの?」
「はぁぁ……やります……」

 さて、副社長の問題意識は、決して漠然としたものではないことが分かりました。

 次回は「ITのこれまでの進化」を解説します。ビジネスの世界にITを持ち込んだ先駆者ゼネラル・エレクトリックは、ITを使って最初に何をはじめたのでしょうか。

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宮本認(みやもとみとむ)

ガートナー ジャパン株式会社

コンサルティング部門マネージング・パートナー

大手外資系コンサルティングファーム、大手SIerを経て現職。16業種のNo1/No2企業に対するコンサルティング実績を持つ。ソリューションプロバイダの事業戦略、組織戦略、ソリューション開発戦略、営業戦略を担当。また、金融、流通業、製造業を中心にIT戦略、EA構築、プロジェクト管理力向上、アウトソーシング戦略プロジェクトの経験も多数持つ。

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