BarclaysのアナリストBen Reitzes氏によれば、判決の価値は本当には定量化できないが、AppleはサムスンやAndroid陣営を倒産させる必要はない。Reitzes氏は次のように述べている。
この判決には異議申し立てが行われるだろうが、われわれはこの結果はAndroidに対するAppleの重要な勝利だと考えている。これで競合他社は、この業界のはっきりしたイノベーターとのスマートデバイス市場での戦い方について、考え直すかもしれない。もしAppleが競合他社により多くのイノベーションを強いれば、競合他社の製品が市場に出てくるのにかかる時間は長くなり、開発費も上昇するだろう。その結果、Appleは競合他社の参入を許さない価格体系をより長く維持することができ、時とともに多くの台数を販売できるはずだ。
これらの裁判の結果は、6億5900万台のスマートフォン市場に影響を与える。タブレット市場に関しては、2012年の市場機会はトータルで1億1200万台だ。例えば、もし競合他社の減速の影響により、Appleが現在の価格で「iPad」を1000万台、iPhoneを2000万台余分に販売できれば、利益は170から180億ドル増えるが、これは1株あたりの利益(EPS)で5ドルから6ドル、1株当たり株主価値で65ドルから85ドルに相当する(株価収益率のみ適用)。
筆者の見解:Reitzes氏は、一歩踏み込んで意見の中で金額を示している。しかし、Appleの勝利はゼロサムではないし、同社が多くの利益を上げるのに、ゼロサムである必要もない。
William BlairのアナリストAnil Doradla氏は、Androidとその開発者に関して微妙な見方を示している。同氏はAppleはサムスンの規模を無視できないとし、さらに次のように述べている。
サムスンの訴訟はAndroidやGoogleとは関係がないが、それでもAndroidやGoogleに対する追加の否定的な材料として見られるだろう。HTCの最近の訴訟で証明されたように、GoogleはAndroidのエコシステムがAppleから保護されていると保証することはできない。結論として、携帯メーカーはAndroidエコシステムの採用につい考え直しているところだろうとわれわれは考えている。
筆者の見解:訴訟は結構だが、最終的にAndroidがつまずくか、前に進み続けるかは、開発者が(弁護士ではなく)判断するだろう。
Stifel NicolausのアナリストAaron Rakers氏は、サムスンはAppleの特許に関する主張について和解を進める可能性が高いと述べている。
サムスンはAppleの特許を意図的に侵害したと認められたため、同社はAppleとの建設的な特許使用許諾交渉を始める可能性が高いとわれわれは考えている。Appleが当初説明されていたスマートフォン1台当たり30ドル、タブレット1台あたり40ドル以上を要求できると仮定すると、これは2013事業年度のAppleの収益とEPSに対して、それぞれ80億ドルと7ドルから8ドルを上乗せする可能性がある。サムスンはAppleの勝利は消費者にとって選択肢の減少と価格の上昇につながると表明しているが、Appleは前世代のデバイスを値引きして提供することにより、自社のスマートフォンとタブレットをより購入しやすくすることに熱心に取り組んでいるとわれわれは考えている。
筆者の見解:Appleとの特許に関する和解は世界的に進む可能性が強くなったと思われる。