ノートPCも手がけている同社としては、当然の見解だろう。他のPCベンダーもとらえ方は同じはずだ。ただ、タブレットとPCの1台2役を実現するWindows 8のインパクトは想像以上に大きく、「タブレットが既存のノートPCの大半をリプレースするのではないか」との業界関係者の見方も少なくない。
そう考えると、Windows 8搭載タブレットはPCベンダーにとって“諸刃の剣”ともいえそうだ。
「今回の新ソリューションは、当社がこれまで培ってきたセキュリティ技術を、モバイルやクラウドの分野に本格投入することを明確に意思表示したものだ」
(シマンテック 河村浩明 代表取締役社長)
シマンテックが10月16日、企業向けのモバイルアプリケーション管理(MAM)ソリューション「Symantec App Center」を提供開始すると発表した。河村氏の発言は、その発表会見で、同社の事業戦略における新ソリューションの意義について語ったものである。
シマンテックの河村浩明 代表取締役社長
新ソリューションは、モバイルデバイス単位ではなく、その上にインストールされるアプリケーションやコンテンツ単位でポリシーに基づく制御を行えるようにしたのが特徴だ。個人のプライベートな情報に影響を与えることなく、仕事に関連する重要な情報を保護できるようにしたという。
新ソリューションの利用シーンで想定されているのは、急速に普及しつつあるスマートフォンなどのモバイルデバイスを業務において安全に利用できるようにするBYOD(私物端末の業務利用)環境である。エージェントなどを導入することなく、アプリケーション単位でポリシーを適用することで、セキュリティを担保しつつ、アプリケーションを利用して生産性向上を図ることができるとしている。
会見で説明された新ソリューションの詳細な内容については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、冒頭で紹介した河村氏の発言について補足しておこう。
同氏によると、「当社はこれまでセキュリティやバックアップ、さらには仮想化防御やリアルタイム防御などからなる包括的なセキュリティソリューションを展開してきたが、今回発表した新ソリューションはモバイルやクラウドの分野に、そうした包括的なセキュリティソリューションを本格投入することを明確に意思表示したものだ」という。
モバイルやクラウドの分野に向けた包括的なセキュリティソリューションということで、同社は今回発表したMAMを皮切りに、2013年前半までにクラウド型認証基盤サービス「Symantec O3」およびファイル共有サービス「Norton Zone」といった戦略ソリューションを提供開始することも明らかにした。
BYOD環境に向けたセキュリティ基盤を実現する手法はいくつかあるが、シマンテックの新ソリューションの手法はまさしく同社ならではのユニークなものだ。BYOD環境の実現には、技術だけではないさまざまな課題があるが、技術によってより高いレベルの安全・安心が確保されればクリアできる課題も少なくない。その意味でも新ソリューションの活用事例がどんどん出てくることを大いに期待したい。
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