モノのインターネット(IoT:Internet of Things)という言葉は、大学の教室や、SFのような世界を出て、役員会議室や製品計画会議の場によく登場するようになってきた。そこで以下では、モノのインターネットについて押さえておくべき10のポイントについて解説する。
#1:「モノ」とは何か?
モノのインターネットというコンセプトで言及される「モノ」とは通常、インターネットに接続可能な、コンピューティング機器を埋め込むことのできるものすべてを指している。IoTにおけるこういった「モノ」にはRFIDタグの付いた輸送用コンテナや、Wi-Fiチップを搭載してフィットネスデータを送信したり、インターネット上のどこかのサーバにショートメッセージを送る一般消費者向けの腕時計といったものが考えられる。
#2:なぜ今になって?
あなたがテクノロジ業界に身を置いて久しいのであれば、過去の似たようなテクノロジを焼き直したものが、新しく革新的だという触れ込みで喧伝されていたという事例をいくつも知っているはずだ。IoTもその例外ではない。10年ほど前にも、Java Beansのようなイノベーションによってデバイス同士が連携し合う素晴らしい世界が来ると言われていたのを覚えているかもしれない。当時との大きな違いは、モバイルデータネットワークが至るところに存在し、安価で性能の高いデバイスが手に入るようになったという点にある。10年前には、スマートフォンや「Arduino」のようなデバイスがどこにでもある世界など想像することはできなかった。今日では、そういったものが普及し、2人分のディナーよりも安く手に入るようになっている。
#3:データがすべて
ほとんどのソーシャルメディアサイトが、人と人とをつなぐという利他的な目標を置くのではなく、広告ビジネスに軸足を置いているように、ほとんどの業界におけるIoT関連の熱狂は、IoTによって生成できるデータの周辺で起こっている。サプライチェーンに大量のIoTデバイスを導入するといった、よく見かけるケースでは、供給網を通過するあらゆる製品に関するデータが得られるという明らかなメリットがある。しかし、技術者からマーケティング担当者に至るまであらゆる人々は、モノのインターネットによって生成されたデータのより興味深い利用方法をイメージしている。その例として、特定の地域を対象とする非常にきめの細かいマーケティングを行ったり、周囲の「匂い」をかぎ分け、それに応じて動作するコンシューマー製品を作り出すといったものを挙げることができる。
では、今日におけるIoTの一般利用形態としてどのようなものがあるのだろうか?