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不祥事で失った信頼を「良い仕事」で取り戻す - 三井物産会長 槍田松瑩氏

五味明子

2013-02-05 12:36


 1876年(明治9年)に創業して以来、人材育成を何よりも重要なミッションとして掲げてきた三井物産。その一貫した経営理念からしばしば「人の三井」と呼ばれる同社は、一方で総合商社という他国には存在しないビジネスモデルで長い歴史を歩んできた結果、コンプライアンスの意識が一般社会のそれと乖離してしまい、あってはならない不祥事を起こしたこともある。

 世界で通用する人材を抱えてビジネスを展開しているにもかかわらず、日本でも世界でも決して認められない事件を起こしてしまったことに、当時の経営トップだった槍田松瑩(うつだしょうえい)氏は大きな衝撃を受けた。

 企業が危機に瀕したとき、とくにコンプライアンスに対する姿勢を世界から問われたとき、リーダーは何を心して行動すべきなのか。そして真の意味で世界に通用する人材に求められる要件とは何なのか——。

 1月24日にウェスティンホテル東京で開催された「Oracle Industry Leadership Summit 2013」(日本オラクル主催)で、現在は三井物産の取締役会長を務める槍田氏が登壇。「過去に学ぶ企業経営のあり方 - 良い仕事」をテーマに基調講演を行った。本稿ではその内容を紹介したい。

日本にしか存在しないビジネスモデル、それが総合商社

三井物産の槍田松瑩会長
三井物産の槍田松瑩会長

 「総合商社とは何をしている会社なのか」という質問を国内外問わず、何度も受けてきたと槍田氏は言う。明治初期、資源のない日本が欧米に伍していくために、国策として誕生したビジネスモデル——それが日本独自の総合商社のルーツだ。

 欧米の列強に暴利を貪られていた新政府は「外国の商人から貿易を取り戻したい。隣国の清のようになってはいけない」という強烈な危機意識をもっており、信頼できる民間企業に世界から物資を調達する役割を担わせた。三井物産のその代表的な一社であり、大隈重信の求めに応じて武士階級出身の益田孝が創業者として起用されたという歴史をもつ。

 「眼前の利に迷い、永遠の利を忘れるごときなく、遠大な希望を抱かれること望む」という創業者の言葉は、いまも三井物産の原点として語り継がれている。

 第二次世界大戦では日本軍の物資調達を一手に引き受けていたこともあり、一時は日本の貿易全体の10%以上を三井物産が取り扱うまでのシェアを占めていた。しかし、戦後はGHQにより「とことんまで砕かれた」(槍田氏)という。

 その後、幾多の変遷を経て現在に至るが、「商社不要論」「商社冬の時代」という言葉に象徴されるように、現在の商社はそのビジネスモデルのあり方を時代とともに大きく変える時期に来ていると槍田氏は強調する。

 「物流の手数料だけで生き残っていくことはもう難しい。むしろ、物流で培ったさまざまな知見を新たなビジネスに生かすべき時代に来ている。現在最も力を入れているのは投資。それも投資バンクとは違うかたちで、資源やエネルギー、医療などに関する分野で投資を行っている。医療などは日本では規制が多いためまだ具体的なビジネスにはつながっていないが、海外で腕を磨き、いつでも日本で展開できるようにしたい」(槍田氏)

三井物産を襲った2つのコンプライアンス事件

 槍田氏は2002年7月に社長に就任している。就任のきっかけとなったのは「国後島事件」、北方四島支援事業にからむ偽計業務妨害に発展した事件である。

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