Microsoftの「Surface RT」をしばらく使ってみて、私は答えよりも多くの疑問を見いだした。Microsoftのタブレット戦略について考えれば考えるほど、最近の同社の取り組みは深謀遠慮があってのことなのか、それとも狂っているのかと迷った。今後数カ月間に登場するものによっては、前者だということが分かるかもしれない。
ホームグラウンドを離れて
Surfaceに関して一番当惑させられたのは、Surfaceのハードウェアが非常に優れていたことだ。これは、私も含め多くの専門家が、Microsoftに期待していなかった分野だった。Surfaceはスマートで、作りもよくできており、単に市場リーダーを真似ようとするのではなく、ユニークで注目に値する機能が盛り込まれていた。もしソフトウェアがハードウェアに匹敵するものであれば、私は喜んでノートPCを家に置き去りにして、Surfaceをかばんに入れて持ち歩き、出張や個人的な旅行では大いに利用したことだろう。
特に問題なのはOSだった。タブレットという分野は、事実上Microsoftが10年前に発明したものだが、それを育てることができず、ものの数カ月でAppleに市場を席巻させてしまったことを考えるとなおさらだ。これはもう終わった話であり、「Windows RT」も依然として問題のあるOSのように見える。しかし、ソフトウェアの面ではいくつか興味深いことが起こっている。
万人が使うOffice
Microsoftはアプリケーションソフトウェア企業として始まり、運と粘り強さでデスクトップ市場の支配を確立した。Microsoftがもともとさまざまなプラットフォーム向けにアプリケーションを作っており、1世代もの間デスクトップコンピューティングを支配するようなソフトウェアを作ろうとしていたわけではないことは、忘れられがちだ。Microsoftは「Office」スイートをいくつかのプラットフォームでリリースしているが、興味深いことに「iOS」や「Android」向けのモバイル版Officeはまだない。iOS版のOfficeについては、すでに多くのうわさと不満が出ており、そのうわさにはそれなりの信頼性がある。