NTTデータは4月15日、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスを対象にした「自動モード切り替え技術」を開発したことを発表。2013年度中に同技術を活用した製品をリリースする予定。同技術を実装したAndroid向けデモアプリ「Autonomous Mode Switcher(AMS)」を同日からGoogle Playで無料で公開している。
今回発表した自動モード切り替え技術は、スマートデバイスが利用される場所や時間帯、利用者にあわせて、カメラやWi-Fiなどの機能やアプリの起動をスマートデバイスが自律的に判断、制御する技術。3月に開発した。
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同技術では、GPSの情報や検知した無線LANのSSIDなどスマートデバイスがある物理的なロケーション、特定のネットワークとの接続状況、スマートデバイスを利用する時間帯、認証された利用者情報など、スマートデバイスの状態にあわせて機能やアプリの起動を制御する。スマートデバイスが自動で状態を検知し、制御するため、システム管理者による運用業務やエンドユーザーが個別に端末を設定するなどの負担を軽減できるとメリットを説明する。
スマートデバイスのホーム画面も自動で切り替えられる。私物端末の業務利用(BYOD)を実施する際に、現在の状態が私的利用時(プライベートモード)なのか、業務利用時(ビジネスモード)であるのかをエンドユーザーは簡単に把握できるという。モードごとに利用できるアプリだけを表示でき、ビジネスモードでは業務用アプリだけを表示して、安全なBYODが実現できるとしている。
今回の技術には、ユーザー認証機能があり、ユーザー権限で制御状態を切り替えられる。1台のスマートデバイスを複数のエンドユーザーで共同で利用することも可能。認証方式は、端末内で認証するローカル認証に加えて、ワンタイムパスワード認証、Active Directoryを活用した認証にも対応。既存システムとも連携が容易。これらの認証方式を組み合わせた多要素認証にも対応している。
モバイル端末管理システム(MDM)との連携インターフェースが含まれる。NTTデータのMDM「AeroLinX-MDM」なども連携できるという。MDMが提供する制御機能を補完的に利用できることから、より詳細な制御が可能になると説明している。これらの機能で以下のようなメリットを得られるという。
- 社内システムにアクセスできる企業アプリはオフィスにいる間だけ利用を可能にする
- スマートデバイスで商品やカタログを顧客に紹介する際、従業員の持っている資格に応じて紹介できるカタログを制御する
- スマートデバイス内のデータを遠隔で消去できない場合に備え、3G回線の接続が切れると企業アプリを起動不可能にする
- 情報漏洩防止の観点から、企業アプリを使っている間は個人利用アプリを制限し、使えないようにする
- 時間外業務を減らすため、就業時間中や日中帯のみ企業アプリを利用可能にする
- セキュリティポリシー遵守のために、データセンターや工場、店舗などの特定の場所では、利用可能なアプリを制限し、それ以外では通常通りに利用可能とする
- 社員モチベーション向上の一環として、スマートデバイスを私的利用まで拡大させる施策を実施する
NTTデータは今回の技術の可用性や運用などの課題を検証するために、4月から同技術を利用したBYODの導入を始めている。Android搭載のスマートデバイスを対象にしている。
オフィス内で特定のWi-Fiポイントを検知すると、ホーム画面が自動的に企業モードに切り替わり、業務アプリだけが利用可能になる。オフィス内でカメラやBluetoothの利用を制限することでスマートデバイスを経由した機密情報の漏洩を防ぐ。利用する業務アプリは、セキュアブラウザ、メッセンジャー、ソフトフォン、映像配信となっている。
オフィスから外に出ることで、私的利用時の画面に戻り、業務アプリは一部を除いて、利用できなくなり、プライベートモードを利用できる。
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