2012年のERP市場は5年ぶりに2ケタ増
リーマンショック、東日本大震災などの厳しい時期を乗り越え、ERP(統合基幹業務システム)市場は再び成長軌道に乗った。2012年のERPパッケージ市場は1091億円、前年比12.6%となった。2007年以来、5年ぶりの2ケタ増である。
馴染み深い存在のERPが2ケタ増という勢いで伸びているというのは、やや意外に聞こえるかもしれない。振り返るとERP導入がブームとなったのは1990年代後半から2000年頃、2000年問題が取り沙汰された頃だった。矢野経済研究所の調査「2012-2013 ERP市場の実態と展望」では、会計・人事分野でのERP導入率は7割に達しており、ERPの利用は既に一般化している。ERPの平均導入時期を見ると、会計及び人事システムで2005~2006年、販売が2004年~2005年、生産・SCMが2004年となる。
つまり、かなり古いシステムが現役で利用されていることになるが、いったん導入したシステムを10年以上使い続けることは一般的であり、メインフレームやオフコンのシステムも多数残っている。一方で、この10年間で社会・経済環境も、もちろんITテクノロジーも大きく変化しており、現在では俊敏な経営判断にITの能力を活用することが不可欠となっている。
2013年時点で、ERP市場の成長を支えているのは、老朽化したシステムや自社開発システムからのリプレイス需要や、海外拠点でのシステム導入である。リーマンショック後の景気減退時に一時的に見送られた基幹システムの更改や再構築プロジェクトが、ここにきて相次いで再開されている。
ここでは、こうした現在のERP市場動向に関し、1.市場におけるトレンド、2.ERP導入におけるポイントの2点にフォーカスしてみたい。
※調査期間:2012年7~10月 ※平均導入後年数は2013年を基準とし、「システム導入後何年経ったか」を示す。2012年を1年前とし、2000年より前との回答は15年と設定して算出した。