通信のゆくえを追う

OTTの憂鬱--無料でアプリ提供してはみたけれど

菊地泰敏(ローランド・ベルガー) 2013年08月05日 07時30分

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 連載の1回目でキャリアについて考え、2回目では端末について考えてみた。3回目の今回は、Over the Top(OTT)について考えてみようと思う。

 OTTという言葉が使われ始めたのはごく最近のことである。2010年代に入り、携帯端末、とくにスマートフォン上で利用されるアプリケーションやコンテンツ提供者の総称として、使われ始めた。通信事業者(キャリア)がサービス提供の中心に位置し、"Top"まではキャリアが提供し、その"上で"提供されるモノという概念であることは連載の一回目で述べたとおりである。

 さてこのOTTという言葉の意味するところであるが、この用語が使われ始めた当初は、NetflixやHulu といったインターネット上のTVやビデオサービスが中心的な概念であった。

 その後、FacebookやLINEといった、SNSやコミュニケーションサービスが意味の中心になりつつある。いずれにせよ、OTTという言葉が本格的に市民権を得るようになったのは2012年あるいは2013年に入ってからといえよう。そして、現在でもOTTとは何かについて唯一の定義というものはない。

 さて、OTTが注目を集め始めたのは、その提供サービスが魅力的であることや、利用ユーザーの数が爆発的に増加していること、その業績の著しいことが原因ではない。もちろんそのような点にも注目は集まってはいるが、むしろキャリアのビジネスを追い詰めているのではないか、という点で世間の耳目を集めている。

 いわゆるネットワークインフラただ乗り論は、昨日今日に出てきた話ではない。2005年頃からネットワークインフラのコストを負担することなく、トラフィックが増加する原因のみを作ってきたアプリケーションプロバイダやコンテンツプロバイダに対し、キャリアがコスト負担を要求することが正当か、という話題が出てきた。特に、電波という公共の、かつ貴重な資源を浪費する上、そのコストを負担していないということで移動体キャリアが槍玉に上げたのである。

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