最高情報責任者(CIO)は管理者ではなく、起業家としての顔を持つようになってきている。
提供:Joe McKendrick/ZDNet
IT系の新興企業における最高経営責任者(CEO)と、企業のCIOとの違いはわずかなものだ。実際のところ、この違いは10年以内に消滅するかもしれない。そして将来的に、CIOは起業家と呼べる存在になるはずだ。
The Compass Talent Management GroupのCEO兼プレジデントであるJoel Dobbs氏は最近、Hewlett-Packard(HP)のブログサイトへの投稿のなかで、CIOは「企業業務の刷新、あるいは大きな変更につながる革新的な技術を生み出すうえで不可欠の存在だ。また、そういった技術はほとんどの場合、企業の最終顧客に直接的な影響をもたらすことに重点を置いたものとなっている」と指摘した。
またDobbs氏は次のようにも述べている。CIOは技術面を担当する幹部というだけではなく、アイデアの着想や売り込み、あるいはリソースの洗い出しや確保を行ったりするとともに、リーダーとしての役割を果たさなくてはならない。つまりチームをまとめ、導き、新たな製品やサービスを生み出し、「企業や市場に適切なかたちで投入する」という役目を担っているというわけだ。
これはまさに起業家の役割だと言える。
Dobbs氏の所見に加えて、クラウドコンピューティングの台頭についても指摘しておくべきだろう。IT組織は、外部のクラウドサービスを利用するか、そういったサービスと競合するかのいずれかであり、さらには自らが特定市場向けのクラウドプロバイダーとなる場合さえある。
自らのキャリアにおいて数年以内にCIOになりたいと考えている人のために、Dobbs氏は以下のような資質を挙げている。
1.ビジョン:「起業家精神にあふれた、洞察力のある人は新たなタスクや手法、テクノロジに目を向けるのではなく、ビジネスを行うためのまったく異なった方法に目を向ける。こういった方法がテクノロジのおかげで可能になる場合も多いのは確かであるが、テクノロジ自体は何かを実現するための単なる道具でしかない。また、ビジョンと言ってもその対象はプロジェクトに限定されない。つまり破壊的であり、転換をもたらすような変革も含んでいるのである」(Dobbs氏)
2.情熱:「私が起業家たちと話をする際、彼らは瞳を輝かせ、早口で自らのアイデアや、自社の使命について語るとともに、体中から活気をあふれ出させている。起業家精神にあふれたCIOであれば、自社の使命、および提供する製品やサービスに対して情熱を抱いているはずだ。こういった情熱は、単なる効率の向上にとどまらず、会社をより良いものへと変えていく取り組みにつながっていく。彼らの情熱は、IT部門の機能を高めるのみならず、会社全体をより良いものへと変えていくのである」(Dobbs氏)