ベトナムでビジネスをする

そのソフトウェア、使っても大丈夫?--ベトナムの事情

古川浩規(インフォクラスター)

2013-09-24 07:30

 ソフトウェアは“サービス”です、ってどういう意味!?

 「ベトナムに進出したけれど、どこに社内システムの構築を依頼すればよいか分からない。手伝ってもらえないか」――弊社にも、しばしばこんな相談が寄せられます。「飛行機で5~6時間の距離」と「2時間の時差」があるベトナムに拠点を設け、日本とシームレスに事業を遂行するには、ベトナム側にも、最低限メールサーバやファイルサーバといった基本的な社内インフラが必要になります。

 こうしたときに、ベトナムに進出している日系ベンダーに相談するという手もありますが、費用の面からベトナム系の現地企業を使う場合も多いようです。しかし、ただでさえよく分からないPCやネットワークの仕様について、通訳を介して決めていると、他の業務が忙しくなるにつれて「台数は○○内、Microsoft Officeが載っていればいいから、後は適当に決めておいて……」と、人任せになってしまいがちです。

 連載第1回「親日でも安心できない--オフショア開発で人気急上昇のベトナム人と付き合う方法」でお伝えしたとおり、ベトナムで気を付けなければならない落とし穴がここにも隠れています。その問題とは、今回のテーマであるソフトウェアライセンスの問題です。

 ベトナムの大手IT企業が運営するPCショップでの出来事です。システム開発や簡易サーバとして動かすマシンを調達しに行った時に何気なく「それで、ソフトウェアはどうなるの?」と聞いてみました。こちらの意図としては、ソフトウェアを売っている雰囲気がなかったため、別のフロアで売っているかどうか確認する意味でしたが、返ってきた答えは「ハードウェアを買ってもらえれば、最新のOSとOfficeは“サービス”します」というものでした。

“サービス”ってどういう意味? 

 弊社では、OSやOfficeだけでなく開発環境のためのソフトウェアも必要だったため、必要なソフトウェアはすべてマイクロソフトと直接ライセンス供給を受けることにしました。そのため、このPCショップが、どんな“サービス”をしてくれるのかは、結局分かりませんでした。

 こうした話を聞くと、読者であれば「本当に大丈夫なの?」と警戒するかもしれません。しかし、コスト削減を厳命され、ITに関する専門知識の少ない日本人駐在員の立場だったとしたら、どうでしょうか。「しっかりした会社が運営するPCショップだから大丈夫だろう。サービスしてくれるなんて、やっぱり日本に良い印象を持っているのかな? この店で買って、余った予算は設備の設営で予算オーバーになっている方に振り替えよう」と考えても、不思議ではありません。

 こうした“サービス”によって導入されたソフトウェアが、たとえ違法コピーだったとしても、使い勝手は変わりません。セキュリティ対策上は大いに問題はありますが、これも技術的な話です。普通に使っている限りは不自由はなく、トラブルが起きたときにPCを使える社員や業者を呼んで修理してもらえば、また以前と同様に使えます。導入を決めた駐在員は、違法コピーだということを知らないまま使い続けるということになります。

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