SAPジャパンは10月3日、自己管理型データベースの新版「SAP Sybase SQL Anywhere 16」の提供を開始した。開発者向けエディションは無料でダウンロードできる。
Sybase SQL Anywhereは、開発者がデータベース埋め込みアプリケーションや、リモート環境とモバイル環境向けのデータベースアプリケーションを迅速に開発、実装できるRDBMSという位置付け。新版のSybase SQL Anywhere 16では、インメモリデータベース「SAP HANA」とのデータ同期やセキュリティ強化、アプリケーション開発の生産性向上などの機能向上を図った。

SAPジャパン ビジネスソリューション統括本部 データベースソリューション部 部長 安藤秀樹氏

SAPジャパン IVE&ソリューション本部 シニアソリューションエンジニア 磯辺信雄氏
SAPジャパン ビジネスソリューション統括本部 データベースソリューション部 部長の安藤秀樹氏は「Sybase SQL Anywhereは、Sybase製品群の中で最も実績のある隠れたヒット製品。全世界で2万社、1000万以上のコピーが利用されており、1200社以上のOEMパートナーを通じて販売され、約60%がOEMパートナーを経由してている。80%がWindows環境、20%がUNIX/Linuxの環境で利用されている。どちらのOSもバイナリ互換のため、OSを意識しない、柔軟な利用環境が多くの顧客から評価されている」と説明した。
「製品名通りにどこにでも配置できるデータベースがSybase SQL Anywhere。あらゆる場所がビジネスの現場(Point of Business)になりうる時代となり、その役割はますます重視される。現在、Sybase SQL Anywhereにおけるモバイル形態での利用は25%だが、これが今後は増加していくとみている。HANAとの連携で軽量で自己管理性に優れた堅牢な高機能データベースとして進化を遂げた。SAPのアプリケーションを多くの人に使ってもらえる環境を提供できる」(安藤氏)
SAPジャパン IVE&ソリューション本部 シニアソリューションエンジニアの磯辺信雄氏は「現行バージョンは12であったが、欧米では13、14という数字が嫌われていること、“Sybase IQ”の現行製品がバージョン16であること、“Sybase ASE”が次期バージョンが16であるため、数字を合わせた」と解説した。
「Sybase SQL Anywhere 16のモバイルリンク機能で複数のSQL Anywhereと同期を取るとともに、HANAともデータを同期できる。自己チューニングで最適な環境で動作する機能を搭載するとともに、データベースミラーリング機能の強化やプロセッサの動的割り当て機能などから24時間365日のシステム運用環境を強化している。LDAPに対応することで、シングルサインオンによる既存インフラとの統合を可能とし、ロールベースのアクセス権限できめ細かな権限設定を実現した」(磯辺氏)
Sybase SQL Anywhere 16では、Sybase ASEやSybase IQのほか、「Oracle Database」「IBM DB2」「Microsoft SQL Server」「MySQL」などのデータベースサーバとのデータ同期機能を強化した。加えて、新たにHANAとのデータ同期を可能としたことで、分散環境にあるSQL Anywareを使用したアプリケーションのデータをHANAで分析することが可能になる。これにより、「Sybase SQL Anywhereは、SAP Real-Time Data Platformで重要な役割を担うことになる」(安藤氏)という。
応答速度向上のためのクエリ最適化機能を拡張して、モバイル基盤上で企業が取り扱うデータへのアクセスがより実用化したという。クリティカルなビジネスデータ保護のためのセキュリティ強化でモバイルやリモートで利用するデバイスへのデータ配布にも効果を発揮するとしている。