日本オラクルは12月18日、政府が推進する電力システム改革への取り組みに関して説明した。
日本オラクル 電力システム改革推進室室長の田積まどか氏は、「市場取引メッセージ連携やメーターデータ管理、託送料管理、料金計算請求、顧客サービス、電力需給可視化など具体的なソリューションを提案する段階へと入ってきた」と説明。電力自由化に向けた国内の現状をこう解説した。
日本オラクル 電力システム改革推進室 室長 田積まどか氏
日本オラクル 常務執行役員 通信・公益・メディア営業統括本部長 三露正樹氏
「日本が電力自由化を実施する方向に踏み出したこと、それに対してどんな対応すべきか、どんなITを準備をしなくてはならないかということへの関心が高まっている。たとえば、分社や法的分離で最適なIT要件とは何かといったことが求められている。人事管理、財務会計、購買、電力管理会計、アクセス管理/ID管理といった発送電分離で対応が必要な業務への支援を提案していく必要がある」
日本オラクルでは4月に電力システム改革を支援する専任組織として「電力システム改革推進室」を発足。米本社のUtility Global Business Unitと連携して、電力会社などを支援する体制を整えていた。
日本国内では11月13日に「電気事業法の一部を改正する法律」が成立。その中で電力システム改革の段階的な実施に関するプログラム規定を整備した。2016年度をめどに電気の小売業への参入を全面自由化し、2018~2020年をめどに法的分離による送配電部門の中立性を確保するとともに小売料金を全面自由化することが示された。
日本オラクルの常務執行役員で通信・公益・メディア営業統括本部長の三露正樹氏は「6月時点では法案が国会を通過しなかったが、11月には通った。その後、顧客や電力分野への新規参入企業、電力関連企業からの問い合わせが増加している。日本オラクルは、そうした要望に対して海外での成功と失敗を含めた先進事例を提供してきた」と語った。
4月に電力システム改革推進室を発足して以降、電力自由化で20年の実績を持つフランス電力(Électricité de France:EDF)をはじめとした海外電力会社を招へいしたり、Utility Global Business Unitメンバーによる海外マーケットの規制緩和の動向、発送電分離などの事例を紹介したりといった海外の経験を日本の市場に広める活動を進めてきた。加えて、スマートメータデータ管理や料金計算請求管理、システム基盤構築などの電力システム改革に対応する提案、パートナーフォーラムを通じたOracle Utilities事業戦略、トレーニングブランの提供などを実施してきたという。
「今後の規制緩和への取り組みや電力自由化におけるマーケティング戦略はどうすべきか、支えるITはどんなものが必要かといった内容について海外の先行した取り組みを日本に紹介できた。今後はこうあるべきだ、としっかりと提案していく」(田積氏)
政府の試算によると、法的分離で4000億円規模のIT投資が必要になるとみられており、電力自由化の動きはIT業界でも大きなビジネスチャンスが訪れることになる。
日本オラクルは、2014年4月24日に東京・大手町のパレスホテル東京で「Oracle Industry Leadership Summit 2014」を開催する。2回目となるイベントでは「革新的ビジネスを構想から実践へ」をテーマに、海外の電力会社や発送電分離に関する経験を持った業界団体などを講師として招き、現状や課題を説明。日本の電力自由化に向けて提言などもしていくという。