自ら開発して需要を予測--データ分析でサプライチェーンを最適化する英テスコ - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2013-12-26 12:39

生鮮食品のロスをなくせ

 データ分析によるサプライチェーン最適化は、天候からの需要予測だけではない。割引などのキャンペーンでもデータに基づいた最適化がなされている。

 Tescoでは、過去4年間の売り上げのデータから消費者が欲しがっているものがキャンペーンでどのように変化するのかを分析している。変化の要因となるのは、具体的な割引率や商品の特徴、どの棚にどの商品をどれだけ置くかなどだ。これらを最適化できると、売り上げを伸ばすことができるという。

 例えば、パスタのソースで見ると「2本を買うと割引する、3本を買うともっと割引するというキャンペーンだと売り上げは確実に増える」。だが、これが豆になると、こうならない。「2袋だと割引、3袋だともっと割引するというキャンペーンは上手くいかなかった」という。


 「2袋で割引となると売り上げが落ちた。3袋でもっと割引するというのでは、売り上げがより落ちた。これは、1日で食べられる分だけを欲しがっているということだ。2つは要らない。1回の食事で食べられる、必要な分だけあればいい」(Apthorp氏)

 こうしたデータ分析からTescoはプロモーションを自動化するシステムを自ら開発した。これは、賞味期限が短い生鮮食品でメリットをもたらしている。賞味期限が切れると生鮮食品は捨てざるを得ないからだ。売れ残ってしまい、賞味期限が切れてしまった生鮮食品はかつて年間5億件もあったという。

 肉を例にして見てみよう。例えば、朝店舗に並べられた肉を一定時間過ぎたら25%値引き、より時間が経ったら50%値引き、さらに時間が経ったら75%値引きというようにしても売れなかったら、捨てるしか方法はない。この値引きは人間が手動で対応していた。

 「もっといい方法があるはず」というTescoが開発したプロモーション自動化システムは、この値引きの割合を自動化するというものだ。このシステムを活用することで、Tescoは「毎年数百万ポンド分のムダを削減できている」という。

メインフレームやDWH、PCを活用

 天候の変化がどのような影響を受けるのかというシミュレーションはIBMのメインフレームで処理しているが、これとは別に5年以上のデータを格納するTeradata製データウェアハウス(DWH)もTescoは活用している。CPUコアは約100、100Tバイトのデータを格納している。

 このDWHには、メインフレームよりは時間的に若干遅れるデータが随時ETLで放りこまれる(メインフレームはHard Real Time、DWHはSoft Real TimeとApthorp氏は表現している)。DWHにはSQL文でクエリを投げかけている。

 Tescoでは、在庫をより最適化するために新たに自らシステムを開発している。先に挙げたDWHでは、複雑なシミュレーションができないために、DWHからデータを取り出してPC上にシミュレーションを開発。米MathWorksが提供する技術計算言語のプログラミング環境であるMATLABで自らアルゴリズムも開発した。これで在庫をより上手く管理できるようになったとApthorp氏は語った。PC上でのシミュレーションなどは、2週間ごとに展開し、予測精度を高めるようにしているという。

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