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4K、ウェアラブル、新興国、B2B--パナソニック津賀社長の勝算 - (page 2)

大河原克行

2014-01-30 12:05

--「攻勢」は、売り上げを追うということの宣言か。

 いや、売り上げを追うということではない。正確な表現をすれば、売り上げが上がるということである。今の認識は、売り上げが下がっているというもの。売り上げは反転していない。いまの売り上げは円安によって、見かけの売り上げができているだけであり、現地通貨ベースではまだ攻勢になっていない。ある特定の領域、セグメントであっても、売り上げが反転しはじめたら、それは「攻勢がはじまった」と見なしうると考えている。

BtoB重視へのシフトから1年の感触

--2013年1月の2013 International CESの基調講演でBtoBへのシフトを打ち出してから1年を経過した。その成果はどうか。

 誤解しないでもらいたいのは、パナソニックは、BtoBとBtoCの両方を、バランスを取りながらやっていくという点だ。BtoCを捨てて、BtoBに行くということではない。家電ビジネスも捨てるとは言っていない。2018年には、車載関連事業で売上高2兆円、住宅関連事業で売上高2兆円、そして、家電でも売上高2兆円を目指すことになる。だが、家電ビジネスの構成要素は大きく変わることになるだろう。

 スマートフォンを例にあげると、われわれのビジネスは、BtoCではなく、BtoBtoCとなる。ソニーにとっては、スマートフォンビジネスは、もはや外せないものとなっているが、パナソニックは、外したところからビジネススキームを考えることになる。自分たちでスマートフォンを作らないところから考えるのが当社の姿勢。それでもビジネススキームが成り立つと考えている。むしろ、この分野で、ナンバーワンになり続けることに対して、ビジネスリスクが大きいと判断した。

韓国メーカーと競争を回避?

 一部には、パナソニックは、BtoBにシフトすることで、韓国メーカーとBtoC領域における競争を避けているのではないかとの指摘もあるようだが、われわれはBtoC市場で競争することがすべてだとは思っていない。むしろ、これまでは、過剰な競争をしてきた反省がある。その競争はお客様不在であり、結果として自分たちを見失うことにつながったと考えている。いま、パナソニックがやらなくてはならないのは、ある特定のセグメントのお客様に対して、なにでお役立ちするのか。これを明確に訴求することである。

 しかも、他社が簡単に真似できないものをやらなくてはならない。パナソニックはBtoBの領域での成功事例を増やし、それぞれの業界において、役立てるような体制とし、そこにパナソニックの技術が光る形にしたい。これが単なる競争からの脱皮につながる。わたしは、韓国メーカーは、まだその領域にまで来ていないとみている。

 しかし、米ラスベガスで開催した2014 International CESの展示をみると、韓国メーカーもいままで通りのグローバルナンバーワンのコンシューマ商品だけでは訴求しきれないと思い始めているのではないかと感じた。ディスプレイに関しても、テレビとは言い難いBtoBの比率が増えているのがその証拠である。韓国メーカーは両社(Samsung、LG)とも、大きな規模でパネルビジネスをやっているため、テレビの展示が大きくなるのは当然のことだ。問題は、その規模に見合っただけの市場があるのかどうかである。そこが韓国メーカーの勝負どころになるだろう。

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