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2013年度の黒字化を必達目標とするパナソニック。2013年3月28日に発表した中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(CV2015)」を構造改革と成長戦略を軸に据え、同年4月には事業部制を復活。
そして、BtoBを柱とする事業体質への転換を強力に打ち出した。いま、パナソニックはどう変わろうとしているのか。パナソニックの津賀一宏社長に聞いた。
--2012年10月の会見で「パナソニックは普通の会社ではない。それをしっかりと自覚しなくてはならない」と発言して話題を呼んだ。パナソニックは、「普通の会社」に戻れたのか。
パナソニックの津賀一宏社長
わたしはパナソニックを「普通の会社」に戻すためには、何個ものステップを踏まなくてはならないと考えた。1つ目は、資金調達、格付けという面で、社会からの信頼を回復し、復配し、株価を上げて、株主の信頼を回復するということである。2つ目には、事業構造を変えて、世の中に求められる商品、サービスを提供できる会社にするということ。
こうした点では、進捗が見られていると判断している。そして、いよいよ次のステップに入る段階に到達した。次のステップでは、会社の中に身を置くのではなく、外に身を置いて、社会が求めるものを実感し、外部にうまく応えて、内部を変えていくということである。事業構造改革への取り組みは、まだ道半ばではある。だが「普通の会社」に向けて着実に進むことができている。
消費増税の影響を注視
--2013年度の黒字化を必達目標としている。
2年連続の大幅な赤字によって、ステークホルダーの皆様には多大なご心配をおかけした。2013年度の黒字化は当然の目標であり、第3四半期までは順調に推移している。あとは第4四半期の進捗次第である。だが、むしろ、4月からの2014年度第1四半期以降をどうするのかが課題だといえる。特に日本では、消費増税の反動が懸念される。
反動の影響で、商品導入計画にも変化が起きないよう、しっかりと第1四半期をスタートさせたい。2015年度までの3年間にわたる中期経営計画の初年度となる2013年度は比較的順調。その成果の上で、2014年度も最低限の数字をクリアしなくてはならない。
--2014年は「反転攻勢をやりきる」という目標を掲げた。これはどういうことか。
反転攻勢の1つは新興国。これまでは、日本主導で家電商品を開発し、新興国市場に売っていくという仕組みであり、必ずしも競争力のある商品を投入できていたわけではなかった。新興国に求められる商品は新興国にいかないと分からない。現地の裁量を広げて、現地で責任をとれるように権限を拡大する取り組みを昨年からスタートしている。日本が主で、新興国が従だったものを、主を新興国として、日本がそれをサポートする体制とし、責任をより明確化していく。
グローバルで戦うために象徴的となる商品を作るのではなく、日本で象徴となる商品はなにか、新興国で象徴となる商品は何か、欧州で象徴となる商品は何かということを考えていきたい。誰に向けて象徴的なのかが分からない商品はなくてもいいと思っている。BtoBにおいても、これは同様である。お客様や市場をしっかりと見据えることが大切だ。
--2013年度は、「反転」はできたが「攻勢」には課題を残したとしたしていたが、攻勢の尺度はどうとらえるのか。
一番分かりやすいのは売り上げだろう。これまでは売り上げを追わないうことを示し、中期経営計画でも売上高目標は掲げず、体質改善を最優先でやってきた。そうしたなかで、「攻勢」が始まったな、といえる状況をとらえるとするならば、それはやはり売り上げに尽きる。