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一杯食わされたのは誰?--Facebookが買収するWhatsAppの“三無主義” - (page 2)

三国大洋

2014-02-24 20:10

 一方、そんな話に食いついて、ほぼそのまま記事にしてしまった媒体各社の報道ぶりにも釈然としない感じが残る。

 1年ほど前にWhatsAppのプライバシー保護のずさんさ(カナダ・オランダ当局の指摘)を自ら記事にしながら、今回そのことには一切触れずに、同社側の言い分を請け売りしてしまったWired UKの例は論外だろうが、普通ならもっと用心深いはずの大手各社――WSJ、Bloomberg、Reuters、WashingtonPost(WaPo)といったあたりも軒並みJim Goetzのこしらえた話に乗っかってしまっているように思えるのはどうしてだろうか(普通は「過去にこういうこともあった」とニュースの当事者の言い分と違う事実があったことをひとこと書き添えたりするものだが…)。

*****(以下がオリジナル原稿)*****

 米国時間2月19日に発表されたFacebookによるWhatsApp買収の話題を巡って、欧米(英語圏)のメディアが大変な騒ぎになっている。「久しぶりの場外ホームラン」とも言えそうな話題であるせいか、発表からほぼまる1日が経過した現時点でも、いまだに関連の記事が出続けているようだ。(ニュースアグリゲーションサイトの)Techmemeへの記事の集まり具合から判断すると、2013年8月下旬にあったSteve Ballmerの最高経営責任者(CEO)退任発表と同じか、それを上回るくらいの反応が生じているように思える。

 また反響の大きさという点で、先週末にあった楽天によるViper買収とは“雲泥の差”も感じられるが、これだけ大きな差が生じた要因としては、ケタ違いの買収額(現金40億ドル、フェイスブック株式120億ドル、それに30億ドル相当の制限付き株式付与)もさることながら、やはり“地元(シリコンバレー)での出来事”という点が大きく、さらに“裸一貫からの成功物語”という要因もありそうなどと思える。

 こうした買収のニュースに付きものの「なぜ(A社はB社を)買うことにしたのか」「どうしてそういう値段がついたのか」といった解説記事もたくさん見かける。また買収合意に至る経緯などを記したものもある。  ただ、そうした中で今回一番興味深かったのは、WhatsAppの2人の共同創業者の“人となり”に焦点を当てたもの――「技術や技術者のことがわかってない」などという厳しい声も時に聞かれる米関連メディアが最も得意とする部類の話である。

 「なぜ買うことにしたのか」については、「Facebookが買収を通じて一番の脅威を排除した」「WhatsAppがGoogleの手に渡ることをFacebookが懸念した」「Facebookがモバイル戦略を加速させるために、月間アクティブユーザー数が4億5000万人を超え、2014年中には登録10億人突破も視野に入ってきたWhatsAppを買った」などといった見方が目につく。また金額については、やはり最終的にFacebookとGoogleとの争奪合戦になって(額が)釣り上がっていたようで、そうなると「いくらだったらお値打ちか」といったことはあまり意味を持たなくなるように思う。

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