スマートメーター(通信機能を備えた電力量計)といくつかの簡単なセンサ類を家に設置するだけで、そこに住む人々についてどういったことが分かるのだろうか?実はさまざまなことが分かってしまうのだ。
IBMのBen Hardill氏は、同僚のBharat Bedi氏が夕食に食べたものについて描写している。
Hardill氏はその夕食に招待されたわけでもなく、調理中の匂いをかいだわけでもない。同氏はその家の敷居をまたぎさえしていない。折れ線グラフを目にしただけで、Bedi氏がミートボールスパゲッティを味わったと見抜いたのだった。
その折れ線グラフとは、Bedi氏の自宅が1日の間に消費した電力量をプロットしたものだ。このグラフ自体は何の変哲もない。しかし、そこに示されているデータと、家庭内のセンサ類から収集した情報を組み合わせて分析すると、以下で解説するように、その家に住む人々の日々の生活についてかなりのことが分かる。
Bharat Bedi氏の自宅における行動の概要
提供:IBM
Bedi氏の自宅の1日のデータを分析することで、IBMの研究者らは家の中の出来事を推定できた。1日を通じた家庭内の電力消費量や、一酸化炭素と二酸化炭素のレベル、室温、湿度をグラフにプロットすることで家事の内容が判断できたのだ。
Hardill氏は「例を挙げると、われわれはシステムが食器洗浄機の動作を認識できるように設定した。すると、この(電力消費の)急上昇が既知のパターンである食器洗浄機のものであると判断できるため、それが1日に2回使用されたことが分かる」と述べた。