次世代型製造業で必要とされる人材像
次世代型の製造業において、労働者も新たな世代に対応した人材が求められる。単純労働よりも、データにもとづき、他の労働者とコラボレーションして、プロセスに参加し動かしていくような人材が重要となってくるのだ。
「これからはアジア各国でも、昔より高い教育レベルの若い人がどんどん入ってきて、よりスマートなシステムを使い、よりスマートな製品作りをしていくことになるのです。例えば“Teamcenter”では、より効果的に仕事ができるようになります。事前に設定した項目を満たしているかどうかといった機械的なチェックはシステムにやってもらう一方、その分、人の目を品質向上に向けることができます。多様なデータにアクセスして意志決定をしていくのです」(Yee氏)
もちろん、アジアといっても、各国それぞれに事情は異なる。例えば中国は製造、それも低コストでの製造に強い。インドはエンジニアリングに強みを持つ。逆に言えば、他の分野に成長の余地があるということだ。
「全ての国において改善の必要がありますが、どの国でも適切なシステムを必要としています。当社は、それを実現するためのPLMを提供していきます。Siemensグループは昔からずっとフィジカルな分野をやってきて実績があり、それに加えてPLM分野でも長い歴史を持っているのです」(Yee氏)
製品情報をリッチなビジュアル画面上に表示し、誰もがアクセスして簡単に使用できるインターフェースで情報を共有する
日本の製造業の今後
一方、日本では近年、製造業の海外流出が進んできた。世界中で動き出した製造業の国内回帰、そして次世代型製造業への潮流の中で、日本の製造業の今後はどうなっていくのか。
「日本は教育レベルが高く、カイゼンやカンバンなど長年培ってきた高いレベルのプロセスもあります。また、消費者の要求水準でも世界をリードしています。一方で、システム全体については改善の余地があります。全体を包括的に見るような考え方を取り入れることが望ましいでしょう」(同)
Yee氏は、トヨタのTeamcenter導入も、システムエンジニアリングの次の高みへの始まりだと指摘する。これからの製造業におけるアジアの主役に「日本企業が幾つか含まれてもおかしくない」とする。
「トヨタも40年前には米国を追っていたが、今や自動車業界の主役になった。同じようなことが、他にも出てきていいはずです。日本の今のポジションは悪くなく、楽観視していい。ただし、それらとは別に、他のアジアの国からも“ヒーローカンパニー”が出てくるはずです」(Yee氏)