モノのインターネットはギアを高速に入れ替えている。Gartnerによると、インターネットにつながっている、あるいはIoTとしても知られる実際のモノの数は、スマートフォンやタブレット端末、パソコンをしのいで2020年までに260億にまで増加すると見込まれる。
IoTはM2M(マシーン・ツー・マシーン)を原動力としている。これはSIMカードの実装が鍵になっており、セキュリティのかかった携帯電話ネットワーク経由でデータを送信することで、企業はデータをリアルタイムに交換できる。
アジア・太平洋地域で最高の成長率を見込みながら、M2M技術により、2020年に自動車業界の売り上げは1900億ドルまで上昇すると予想する分析者もいる。この時期までに自動車産業のM2M市場は13億近くのコネクションに成長すると予想される。これは新車を緊急用の支援デバイスに適合させるというメーカーの必要性が主にけん引する。
ドライバーが事故を起こした際、SOSを自動的に最も近い緊急対応センターに送信するという「eCall」緊急コールシステムは、2017年までにEUにおけるすべての自動車モデルの法的条件になる。規制がアジア・太平洋で義務化されるかどうかは今のところ定かではないが、eCall施設は日本などの地域においてすでに導入されている。
ただしドライバーの安全性向上が、自動車産業がM2Mから確実に得られる唯一の利点というわけではない。この技術はアフターサービスから社内の高帯域幅の情報システムに至るまで、幅広い販売機会を生むものである。
コネクテッドカーでのドライブ
では、その「コネクテッドカー(接続されたクルマ)」の実現にはどれほどの道のりがあるだろうか。Vodafoneが実施した2013年のM2M採用状況調査によると、調査対象の自動車企業の19パーセントがすでにM2M戦略を立案しており、40%が次の2年以内に戦略を立ち上げるとしている。自動車業界がM2Mの採用をけん引していることは明白である。
これはメーカーの5分の1が早期の競争上の利点を迅速に確保している一方、他のメーカーはM2Mを採用する前に緊急支援規制が義務になるのを待っている状態である。M2M技術投資へのリターンを主に追求する企業にとっては利点は広範に及ぶ。
より安全な道路
早期に採用したメーカーは早期の利益実現を明らかに強く望んでいる一方、より安全なドライバーと道路はM2M技術の主要な推進力でもある。緊急支援以上に、クルマが生成するデータは、広範囲にわたる匿名による交通情報を提供し、公共サービスは道路のネットワーク状況をより正確に把握できる。
また、クルマから収集した車両のサスペンションデータにより、道路の劣化を事前に検知して、補修作業に移れる。つまり、道路の不具合による車両への損害発生や事故を事前に回避できるのである。