Open Data 500 をもとに次への議論を促す
OKFJ代表理事の庄司昌彦氏は、先に紹介したOpen Data 500に関してプレゼンテーションした。Open Data 500は、政府のオープンデータの経済的価値を評価する基盤を提供し、新たなオープンデータ企業の発展や政府のデータを利用しやすくする方法を通じて、より官民の対話を推進させるものとして位置づけられているという。国内のオープンデータに関わる企業のリストを作成することにより、現状の課題を把握しやすくなると説明した。

OKFJ代表理事 庄司昌彦氏
Open Data 500の中身を見てみると、日本企業からは富士通とキヤノンが掲載されており、全体としてはデータ分析やデータ提供サービスが多くを占めている。オープンデータに関わる企業は、100以上の異なるデータソースを政府機関から得ており、広告やサービス、他事業への誘導など幅広く多様な事業モデルから価値を生んでいることがわかる。
「Open Data 500は、企業のランキングやレイティングではなく、多様なデータを活用するさまざまなサイズの分野の企業をカバーし、業界を広範で包括的な観点をもつことができる。リスト作成後にはデータのオープン化と利用改善に向けた会議が設けられたり、リストをもとに組織間のネットワークが作られ、今後注目されるデータとして気象情報や地理空間情報、知的財産などのあり方が議論されたりするなど、今後のオープンデータに関しての議論が活発となっている」(庄司氏)
こうしたOpen Data 500の動きをうけて、日本版Open Data 100、そしてアジア版Open Data 500を作れないか、と庄司氏は提案する。
「一概にオープンデータに関わると言っても、データの整形などオープン化を支援するもの、データポータルの構築、データのマップ化やビジュアライゼーションを支援するもの、データセットにアクセスするためのAPI開発、オープンデータを活用した新サービスを開発するものなど、業界や分野によってさまざまだ。オープンデータにまつわる業界マップを整理し、今何が足りていないか、今後の展望などを議論する素材として、日本国内のリスト作成を進めていきたい」(庄司氏)
オープンデータの議論そのものから、一般化してきたオープンデータをより次につなげるためには、さまざまな整理や事例集などを作成し、次につなげるための一歩を踏み出す必要がある。世界に日本の存在価値を示すために、さまざまな企業や団体の連携がますます求められてくるだろう。