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「面」のコミュニケーションが柔軟で耐性のある組織を作る--VOYAGE GROUP宇佐美氏 - (page 4)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-09-04 17:35

--社長と社員がチャットでやり取りしているというが、組織のフラットさを優先させる理由は何か。

 チャットに限らず、社内でオフィシャル、アンオフィシャルのコミュニケーションをどう織りなしていくかは、常に意識しています。部署などの縦のライン、同じ職種といった横のつながりがある中で、組織の強さとはコミュニケーションの際に縦、横、斜めの「面」で連携できることだと考えます。コミュニケーションラインを複数持つことで、さまざまな変化に対応したり、耐性のある組織に成長していけると考えています。そのツールとしてもガルーンを活用しています。最近では、部署単位でSkypeのグループチャットやFacebookを活用しているケースも多いですね。


組織をフラットに

 Facebookは、有志のプロジェクトチームが運用して、イベントなどの写真を載せています。誕生日のサプライズや「浴衣の日」に流しそうめんをしましたといった具合です。また、毎週月曜日に全社員がワンフロアに集まって「朝会」を開催しています。各事業部からの発表や1分間スピーチなどをするのですが、その内容の要約はFacebookに必ずアップしています。あとは、どんな人がいるのかIT業界では分かりづらいので、それを知らせることにも活用しています。

 まとめると、コーポレートサイトではプレスリリースなどの告知をし、社外の人に雰囲気を知らせるツールとしてVOYAGE GROUPの公式アカウントのFacebookを活用しています。。社内のツールはコミュニケーション活性化のために活用しており、たとえば社内のサークルごとにFacebookのグループページを作っています。そこにはアンオフィシャルなものも多くて、ラーメンや日本酒といった飲食関係から、同じ出身地、同じ居住地などのサークルがあります。

--サークル活動など、学校に近い印象がある。

 組織を作る上で「学校っぽさ」を意識おり、そういうことが嫌いではない人が集まっていると思います。面接の際に「運動会がある」ことを告げ、社風に合う人と合わない人がいるので、ふるいにかけている部分もあります。運動会やサークルでは、立場に関係なくいろいろな人と距離が縮まってつながりができます。意外な面を知って親しく話せるようになることもあるのです。

 学校っぽさという面では、学芸会のようなこともやっています。これは半年に一回、総会の第二部として開催しています。各自がいろいろな出し物をするのですが、本格的な映像コンテンツも出てきています。こうした取り組みはダイレクトに業務に生きるわけではありませんが、組織が活性化されてる状況を保つための仕組みと捉えています。それが間接的に、新しいことに対してポジティブに取り組める人が多くなり、事業を進めやすくなります。「斜に構える人」が少ないことも特徴ですね。

--ベンチャーを支援する「BOAT」プロジェクトにも着手するが、自分で会社を始める社員も人も出てくるのでは。

 本質的には会社を「いい会社」にしていくこと。転職するよりもVOYAGEを好きになってもらうことを常に意識しています。論理的なことでなく「好き」という感情的な部分をどう作っていくかということですね。そのために、新卒採用の際の面接官を社内のいろいろな人に頼んでいます。会社を主語で語る機会を増やすためです。会社を一人称で話すことは、会社のことを考えるきっかけになります。そうすると好きになっていくんですね。そういう機会に触れる人を増やすことは意識しています。

--今後の展望は。

 メディア事業もSSPなどアドテクノロジ事業も、既存の事業の中で成長の余地があると思っています。今の延長線上でシェアを高めていくために、メディアであればアクティブユーザーを増やすなど、当たり前のことをおろそかにせず、伸ばしていきたいと思います。新しい事業や周辺事業を展開していきます。上場したからといって、社内に安心した空気はありません。逆に、「(上場したのだから)これからは厳しくなる。しっかりしないと」という雰囲気です。

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