企業向けWindowsと個人向けWindowsの境界を明確にする
Microsoftが2001年に、企業向けのWindowsと個人向けのWindowsを「Windows XP」で統合したことを思い出してほしい。
当時はこれが名案であった。タブレットやスマートフォンが生まれる前の時代には、企業向けPCと個人向けPCの間に実質的な違いはなかったのである。
今日では企業向け機器と個人向け機器の間には大きな隔たりがある。そして、2年近く前にリリースされたWindows 8から始まった混乱の多くは、これら2つの機器市場の間にもたらされた緊張の高まりによって説明できる。
企業市場を無視することはできないものの、レガシー資産を引きずるこの市場から多くのイノベーションを期待することもできない。多くの企業は単一目的のデバイスとしてデスクトップPCを購入している(例えばコールセンターや工場の現場を考えてほしい)。典型的な企業のノートPCではOffice製品とブラウザが動作している程度である。従来のPC上でまったく新しいデスクトッププログラムや新種の周辺機器を最後に見たのはいつだっただろうか?すべてのイノベーションは、アプリやウェブサービスのかたちで調達されるソフトウェアとともにモバイル機器上で生み出されている。
そしてここに問題がある。Windowsライセンスの購入に大きなコストをかけている企業顧客はできるだけ変化を避けてほしいと考えている。一方、モバイル機器のコストに占めるWindowsの割合がどんどん小さくなっているコンシューマーは、PCの複雑さに悩まずに最新の機能やアプリを使いたいと考えている。
筆者は、Microsoftが今後数年以内に、Windowsにおける2つのラインを再び分けなければならなくなるのではないかと考えている。これは保守的なIT部門を満足させつつ、Windowsを搭載したコンシューマー向けモバイル機器のイノベーションのペースを落とさない唯一の方法かもしれない。