11月上旬に米国ハンティントンビーチにて開催された「Intel Capital Global Summit」は、米Intelの投資部門であるIntel Capitalが主催する年次イベントだ。毎年同社が投資する企業を披露するイベントであると同時に、起業家と投資家の出会いの場ともなっている。
同イベントにて、Intel Capitalのマネージングディレクターを務めるDharmesh Thakker氏にインタビューする機会を得た。Thakker氏は、主にクラウドやビッグデータの分野における同社の投資にて決定権を持つ人物だ。同氏にIntel Capitalの投資の姿勢を聞いた。
Intel Capitalのマネージングディレクターを務めるDharmesh Thakker氏
--Intel Capitalは通常のベンチャーキャピタルとは異なるとのことだが、その違いとは?
Intel Capitalが興味を持っているのは2点。1つは、投資対象となる企業を他の投資家に先駆けて見つけること。もう1つは、Intelのコアビジネスを支援することだ。われわれは資金的な支援をする投資家であると同時に、戦略的な支援をする投資家でもある。
われわれのゴールは、クラウドサービスやビッグデータのトランスフォメーションを促進する企業を早い段階で探し出し、こうした企業と顧客を結びつけると共に、テクノロジロードマップの実現を支援すること。また、これらの企業の成長が、市場でのコンピューティングニーズに結びつき、Intelの事業にも良い影響を与えることだ。
例えば、Intel CapitalはVMwareにも出資している。出資したのはまだ同社の初期の頃だったが、今では同社は大企業へと成長し、われわれにも大きなリターンをもたらしている。
他にも私が担当した投資先の例を挙げると、OpenStack関連のシステムインテグレーターであるMirantisという企業がある。同社には資金的な援助をしただけでなく、顧客面や技術面でもサポートし、IntelとMirantisでPayPalやCisco、AT&Tといった100以上の顧客を獲得した。
その結果、われわれが投資した18カ月後となる10月には、新たな投資ラウンドにて1億ドルの投資を受けることになったのだ。大きなリターンを得つつ、投資先企業のコアビジネスを支援している例だ。
Intel Capitalは、通常のベンチャーキャピタルでは提供できないようなイノベーションと価値を企業に提供すると同時に、投資先企業がIntelのビジネスをも支援できるというユニークな立場にいる。
Intelの価値をスタートアップ企業に提供でき、スタートアップ企業の価値の恩恵をIntel側も受けることができるのだ。だからこそ、われわれは非常に積極的に投資を続けているのだ。