本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本HPの春木菊則 クラウドビジネス統括本部長と、米WorkdayのMike Stankey プレジデント兼最高執行責任者(COO)の発言を紹介する。
「PaaS市場に“価格破壊”をもたらしたい」 (日本HP 春木菊則 クラウドビジネス統括本部長)
日本HPの春木菊則 クラウドビジネス統括本部長
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が先ごろ、ハイブリッドクラウド環境の構築や活用、管理を可能にするアプリケーション開発、実行基盤(PaaS)構築ソフトウェア「HP Helion Development Platform」を国内で提供開始すると発表した。春木氏の冒頭の発言は、その発表会見で、同製品のPaaS市場での価格競争力を強調したものである。
Helion Development Platformはオープンソースソフトウェア(OSS)のPaaS構築ソフトウェア「Cloud Foundry」をベースとし、同社のIaaS構築ソフトウェア「HP Helion OpenStack」向けに最適化されている。アプリケーション開発者はこれを利用することで、オープンプラットフォームで拡張性を持つクラウドネイティブなアプリケーションの構築、導入、管理を迅速に可能にするとしている。
米HPは2014年5月にクラウド関連製品・サービス群を「HP Helion」ブランドのもとで統合し、同10月にIaaS構築ソフトウェアであるHelion OpenStackを発表した。HPは新ブランドに関連する事業に、2年間で10億ドル以上を投資すると明言している。Helion Development Platformは、Helion OpenStackと組み合わせて利用するPaaS構築ソフトウェアという位置付けとなる。
Helion Development Platformのさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは春木氏が強調した同製品の価格競争力に注目したい。
Helion Development Platformの価格は、物理サーバ単位の1年間使用権で設定されている。具体的には、標準時間の技術サポート付きが5万2000円から、24時間7日間の技術サポート付きが9万6000円からとなっている。春木氏によると、この価格は「同じOSSベースの製品を提供している競合他社に比べて2ケタ違う」と言う。そこで打ち出したのが、冒頭の“価格破壊”宣言である。
こうした低価格戦略に打って出た理由について同氏は、「PaaS市場の裾野を広げていくためには、やはりプライスポイントが非常に重要だ。とにかく多くのアプリケーション開発者に使ってもらいたいというHPの思いを込めたものだ」と説明した。