Helionのポートフォリオを着実に拡充しつつある同社だが、競合他社に比べてクラウド事業の展開が立ち後れた印象は拭えない。ただ、クラウド市場が大きく広がっていくのはまさにこれからだ。果たしてどのような巻き返しを図っていくか、注目しておきたい。
「企業のIT利用環境は5つのクラウドで再構築するのが望ましい」 (米Workday Mike Stankey プレジデント兼COO)

米Workday プレジデント兼COO Mike Stankey氏
米Workdayの日本法人であるワークデイが先ごろ、グローバルで提供している財務・人事管理のクラウドサービス「Workday」を国内で本格展開すると発表した。米Workdayプレジデント兼最高執行責任者(COO)であるMike Stankey氏の冒頭の発言は、その発表会見で、同社が考える「企業における新たなクラウドの利用形態」について述べたものである。
同社が提供するクラウドサービスは、世界最大規模の組織にも対応可能なヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)、財務管理、ビッグデータ分析機能などを備えつつ、導入期間の短さや操作性、レポートやインターフェースのデザイン性が評価され、すでに多くのグローバル企業が顧客として名を連ねている。
Workdayは米Oracleが買収した米PeopleSoftの創業者であるDave Duffield氏らが“基幹業務システム(ERP)市場再参入”のために2005年に設立。当初から“クラウドERP”として設計したサービスの提供を目指してきた。現在の顧客数はグローバルで700社を超えており、日本でも外資系企業の日本法人を中心に、すでに150社が同社のサービスを利用しているという。
同社のクラウドサービスの詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではStankey氏が語った「企業における新たなクラウドの利用形態」に注目したい。

Workdayが提案する「企業における新たなクラウドの利用形態」
同氏が冒頭の発言で語った5つのクラウドとは、Workdayが提供する「財務と人事」をはじめ、「ITインフラ」「顧客情報管理(CRM)」「インダストリ」「コラボレーション」といった分野である(図参照)。この5つのクラウドを連携させて利用するのが、「企業のITシステムの新しいあり方」だと同氏は強調した。
確かにこの5つのクラウドは、企業がITシステムを利用する際に必要不可欠な「機能」をピックアップしたものと見て取れる。そして、この構図は取りも直さず、Workdayが推進しようとしている戦略でもある。というのは、同社が提供する「財務と人事」クラウドと他の4つのクラウドを組み合わせた「統合クラウドモデル」を確立すれば、企業にとって分かりやすく導入しやすいものになり得るからである。
図を見ると、それぞれのクラウドにはベンダー名やサービス名も記されている。つまり、Workdayが連携を進めている相手先だ。こうした構図を示すのも有効なプレゼンテーションなのではないだろうか。