三国大洋のスクラップブック

「Apple Car」とテスラの改めて気になる関係--バッテリとインフラをめぐる話題

三国大洋

2015-02-21 07:00

 先週末から話題になっているAppleの自動車開発に関係する話を1つ。以下2つの点が話の中心になる。ただし変数(不確定要素)が多すぎるので、現時点で思いつく材料を並べただけにとどまりそうな点を予めご了承いただければと思う。

  1. アップルはバッテリと充電インフラをどうするのか?
  2. テスラのバッテリメーカーへの方向転換(ピボット)はあり得るのか?

 WSJが13日に「Appleが電気自動車開発に着手している」とする記事を掲載していた。わりと「寝耳に水」な話だったせいか、あるいは記事のなかに具体的な名詞がいろいろ散りばめられていたせいか、このWSJ報道にたくさんの媒体が飛び付いていた(ニュースアグリゲーターのTechmemeではこんな感じだった)。

 「具体的な名詞」というのは、例えば開発プロジェクトの名前が「Titan」であるとか、Ford出身のSteve Zadeskyという幹部がリーダーとなって1000人規模の開発部隊を組織しようとしているとか、あるいはMercedes-Benz北米研究開発部門で責任者を務めていたJohann Jungwirthと人物をAppleが昨年9月に引き抜いていたとか、Magna Internationalという自動車部品メーカーのオーストリア子会社に人を送って話し合いをしていた、などといったもの。

 ただし「プロジェクトのスコープはどれほどのものか」、つまり「Appleは電気自動車開発にどれくらい本気なのか」という肝心な点はよく分からず、WSJでも「最終的に自動車開発を進めないと判断する可能性もある」などとただし書きを付けていた。

 この報道を受けて、その後いろんな媒体や個人が観測や自分の見方を記していた。例えばJean-Louis Gassée(AppleのOB、Be創業者)は、自動車と携帯電話端末(スマートフォン)の市場規模や利益率などを比較して「iPhoneほどもうからない自動車の分野にわざわざAppleが参入するものか」などといった趣旨のエッセイを公開。Gasséeはこのブログ記事のなかで、Benedict Evans(現Andreessen HolowitzのVC、元々は携帯端末分野を専門とするアナリスト)が発した下記のTweetを紹介している。

 (https://twitter.com/BenedictEvans/status/566424486262472705)

 またGeneral Motorsで2014年まで最高経営責任者(CEO)を務めていたDan Akersonという人物も、「自動車の世界は皆が思っているよりは大変だ」「『経営者として携帯通信端末と自動車のどちらをとるか?』といわれたら、販売台数も断然多く、利益率も高い携帯通信端末のほうをとる」などとBloombergにコメントしていた(この記事中には、AkersonがGMの再建を引き受ける前、MCIやNextelといった通信業界大手で社長やCEOを務めていた、という説明書きがある)。

 なお、Gasséeはブログ記事のなかで「前四半期の売上がAppleは600億ドル超、それに対してGMのそれは400億ドル程度」と記している(正確にはAppleが746億ドル、GMが396億ドルだったそうだ)。

 それでも、現在のAppleがおそらく世界一の金満企業になっているせいだろう、

 WSJあたりでは「iPhone依存の脱却狙い」でAppleが電気自動車開発に着手したのだろう、といった記事をいまだに見かける。また「Appleがバッテリメーカーの米A123 Systemsから開発部門の主要メンバー4人を引き抜き、そのせいでA123 Systemsから訴えられた」というニュースも出ていたので、Appleが電気自動車関連の人材を集めているのも事実かと思われる。

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